3年半で東証1部に復帰した東芝、様変わりした「総合電機」の風景
東芝が29日、東京と名古屋の両証券取引所の市場第1部に指定替えとなる。不適切取引の発覚に端を発した経営危機で債務超過に陥り、第2部に転落してから3年半。経営再建の大きな節目だ。
日本の電機産業の草分けであり、製造業を代表して財界のリーダーを輩出した名門企業。昔日の存在感を取り戻したわけではない。そもそも2部では巨大すぎた存在であり、1部復帰からがスタートだろう。
前途は楽観できない。どん底の時に力を借りた出資者が“モノ言う株主”となって厳しい目を向ける。筆頭株主であるシンガポールの投資ファンドとの間では、企業統治を巡る争いが表面化している。経営陣も気が休まらないだろう。
かつての社風は「公家の東芝」。血筋はよくても争いには弱いと評された。「野武士の日立製作所」「殿様の三菱電機」とともに「総合電機3社」として比較されたが、3社3様に事業再編を続けた結果、それぞれが基本戦略も得意分野も異なる企業に変貌した。
もはや国内での競争は大きな意味を持たない。新たな戦略と技術力で内外の信頼を勝ち取ることが東芝に問われている。それは実は、他の多くの日本企業にとっても課題である。
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日刊工業新聞2021年2月2日