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積乱雲の80km圏内を30秒間隔で観測!日本無線の次世代フェーズドアレイ気象レーダー

積乱雲の80km圏内を30秒間隔で観測!日本無線の次世代フェーズドアレイ気象レーダー

日本無線が千葉市に設置している試作機

日本無線(東京都中野区)は、雨や積乱雲など対象物の80キロメートル圏内を30秒間隔で観測できる次世代フェーズドアレイ気象レーダーの実用化に乗り出す。パラボラアンテナ型の5分間隔よりも短い時間間隔で観測できるため、ゲリラ豪雨や竜巻など短時間で急速に変化する気象現象の観測に役立つ。降水量や風速などを計測するテレメーターシステムと組み合わせ、各地の天候をリアルタイムで把握できるサービスの提供を目指す。

次世代気象レーダーで用いるフェーズドアレイアンテナは、複数の細長い導波管スロットアンテナを用いている。同アンテナから発する電波のタイミングを電子的に制御することで指向性を自由に変えられるため、アンテナを機械的に動かすことなく任意の方向に電波を照射できる。

すでに試作機を千葉市に設置し、実証を行っている。実証結果を反映させ、ゲリラ豪雨や竜巻発生前に観測した気象現象の特徴を気象レーダーから自動的に探知・追跡する技術や、監視、予測技術の精度向上に役立つ研究を実施。発生時間が短く、パラボラアンテナでは捉えることが困難だった竜巻を立体的に観測することに成功している。

試作機の観測データからは、竜巻を引き起こした積乱雲や風の動き、立体的な構造なども3次元データとして詳細に確認できた。防衛大学校の小林文明教授らとともに観測データを解析し、竜巻をもたらした積乱雲からの竜巻渦や竜巻で巻き上げられた枝葉、建物破片など飛散物の立体的な動態が分かったという。

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