増える「年始休業」スーパー、福袋前倒しも
新型コロナウイルスの感染拡大で、年末年始の街の風景が変わりつつある。年始に休業するスーパーマーケットが増えたほか、百貨店では福袋を年内から販売し始めたり、ネット通販に切り替えたりと多様化。外食チェーンでは営業時間の短縮、テーマパークでは年越しイベントの中止といったように、今年は“静かな年末年始”を迎えようとしている。
大勢の買い物客が福袋に殺到する―。そんな新春の風物詩が、2021年は百貨店で見られなくなりそうだ。高島屋は例年、1月2日と3日に行っていた福袋の店頭販売を21年は取りやめた。すでに12月2日から店頭とネットで福袋の予約を開始。店頭の場合は1月4日以降に受け取りができる。
そごう・西武は元日から営業するものの、福袋の販売は26日から前倒しでスタート。会期も前年に比べ14日増の1月11日までと期間を延長した。3密を避けるため、ブランドごとに開始日もずらしている。「混雑を避けて、安心して買い物をしてもらう」(そごう・西武)という。
大手スーパーではイオンや西友が原則、元日から通常営業としているが、年始を休業するところも目立ってきた。サミット(東京都杉並区)は元日から3日まで休業する。三が日の休業は1988年以来33年ぶりとなる。新型コロナの影響で3月以降、多忙を極めてきた従業員、その家族、取引先をねぎらうのが狙いという。
いなげや、ヤオコーも元日からの三が日を休業する。ライフコーポレーションは全店で元日と2日を休業する。
元日や三が日の休業が相次ぐスーパーに対して、コンビニエンスストアは対照的。巣ごもり需要を背景に顧客の利便性を重視して営業継続する店が多い。セブン―イレブンは24時間営業を続け、ローソンは約85店で休業や時短営業となるが大半は24時間営業とする。ただ、働き方を見直す動きも出ている。ファミリーマートは、休みを取りたいフランチャイズチェーン加盟店オーナーに代わって本部社員が業務を代行する「店長ヘルプ制度」を運用する。元日は派遣時間を21時まで延長して対応する。
外食チェーンではロイヤルホストが一部店舗を除いて31日と元日の2日間を休業する。営業する場合も、各自治体が営業時間の短縮を要請していることもあり、閉店時間を早める動きが目立つ。サイゼリヤは、原則31日と元日は20時までの営業とする。「ガスト」や「ジョナサン」を展開する、すかいらーくホールディングスは、31日は18時、元日は21時に閉店する。
テーマパークは東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)が感染拡大防止策を継続した上で通常通り営業するが、どちらも年末年始のイベントは中止する。オリエンタルランド(OLC)はTDLと東京ディズニーシー(TDS、千葉県浦安市)とも通常通り9―21時まで営業。ただカウントダウンイベントなどが目玉の“年越し営業”を、開園以来初めて中止する。USJも年末年始のカウントダウンイベントは中止。運営会社のユー・エス・ジェイの広報担当者は「世の中は厳しい状況だが、ソーシャルディスタンスを確保しUSJを堪能して頂きたい」とする。
コロナ禍で、人々の消費行動や労働環境は目まぐるしく変化した。それに合わせて営業方法なども柔軟に変更、見直しする姿勢が、21年はより重要になってきそうだ。