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スポーツバイクの“ペダリング”は奥深い。そのテクニックを支えるパーツのことを知ろう

おすすめ本の抜粋「きちんと知りたい!スポーツバイクメカニズムの基礎知識」

ペダリングは奥が深いといいます。どのようなことを意識すべきか。効率的なペダリングとそのテクニックについて考えてみましょう。

理想的なペダリングとは、ペダルが一周する間、ずっとチェーンに推進力をかけられるようにすることです。その反対に、避けたいペダリングとは下死点で最大踏力が発生するパターンです。

効率的なぺダリング

ペダリングを時計の長針に見立てると、0分(上死点)と30分(下死点)でどんなに力強くペダルを踏み込んでも、自転車は1mmも動きません。まさに死のポイントというわけです。そして、最も力が伝えやすい15分の位置。時間にしたら1〜29分と、31〜59分の2つのパートをどのように上手に使えるかとなります。

実際に、多くの方のペダリングがどうなっているかというと、さまざまなメーカーが調べた結果、20分過ぎで最大トルクが発生している人が多いというデータが出ています。また、下死点でも真下に踏んでいる人が多く、筋力を効率よく推進力に換えているとは言い難いです。

そこで、課題となるのがペダリングのテクニック。ビンディングペダルは足を固定し、引き足(31〜59分)側も駆動力に使えるということになっていますが、実際にはほぼ加速には影響していないという結果が出ています。しかし、引き足が無駄なわけではありません。右足で踏み込んでいる時、左足は引き足側にあります。この時、引く意識がないとペダルに乗せた足が重りとなって、右の踏力に対してネガティブな力となってしまいます。それを解消するため、なるべく高い位置から踏み出し、早めに足を引き上げるように心掛けましょう。

サポートしてくれる部品

ペダリングの理屈は分かっていても、踏み出しが遅れてしまう……という人のために開発されたのが、楕円形のチェーンリングです。フロントディレイラーとチェーンリングの歯先の距離が不均等になるため、変速するタイミングによっては真円のチェーンリングよりも変速性能が落ちますが、巡航時の効率が上がるのでロング ライド系のライダーを中心に人気があります。

ペダリングと推進力

【POINT】
◎上死点と下死点を無理なく通過させて、スムーズなペダリングを
◎ペダルは踏まず、回すもの
(「きちんと知りたい!スポーツバイクメカニズムの基礎知識」p.142-143より一部抜粋)

<書籍紹介>

自転車は200以上にもわたり活用され、用途も移動手段から遊ぶための道具へと進化しています。最近では街中でも目にすることが多くなったスポーツバイク。スポーツバイクはロードバイク、マウンテンバイクの他に、クロスバイク、シクロクロスバイク、BMXなど多くの車種があります。
 フレームの材質は木製→鉄製→アルミ製→チタン製→カーボン製と軽量化が図られ、次第に「ロードレーサー」から「ロードバイク」という呼称に移り変わってきました。材質や呼称が変わっても、基本的なフレーム形状であるダイヤモンド形は変わりません。長年親しまれているスポーツバイクは変わるところと、変わらないところを取捨選択しながら成長を続けています。
 本書では、メカニズムの基礎編として構造を、上級編として最新のメカニズムを解説します。そのほか具体的なパーツ、スポーツバイクと人体のマッチングなどを紹介します。

書籍名:きちんと知りたい!スポーツバイクメカニズムの基礎知識
 編者名:一般財団法人自転車産業振興協会
 著者名:菊地武洋、伊崎智弘
 判型:A5判
 総頁数:160頁
 税込み価格:2,420円

<販売サイト>
Amazon
Rakutenブックス
日刊工業新聞ブックストア

<執筆者>
菊地武洋(きくち・たけひろ)
東京都生まれ。自転車ジャーナリスト。
高校生の頃に自転車専門誌でアルバイトを始め、国内外の技術者や選手と交流を持つ。スポーツバイクのきっかけはツーリングに始まるが、ツール・ド・フランスをはじめとするトップクラスのレース取材の経験がある。メカの解説と試乗記事を得意とし、これまで試乗した自転車は2000台近くになる。スポーツバイクメカニック(SBM)の教本監修なども手掛ける。

伊崎智弘(いざき・ともひろ)
福岡県北九州市生まれ、明治大学卒業、キャリアコンサルタント。試験機器メーカーを経て、一般財団法人自転車産業振興協会勤務。自転車と車いすのISO、JIS規格の作成に携わり、アトランタパラリンピック自転車競技において日本初参加時の機材開発も担当。4年間ドイツ駐在、主にEUの自転車交通政策とアンチダンピング措置について調査研究。帰国後、現在のスポーツバイク(SBM)講座・検定を立ち上げた。その後自転車の休日セミナー、SBM講座・検定の企画をはじめ、メカニック教本など書籍や動画の製作に加わり、将来を担う自転車人材の育成に力を注いでいる。

<目次(一部抜粋)>
第1章 スポーツバイクとは
プロ選手のスポーツバイクは買える!?/日本におけるスポーツバイクの分類は?/電動アシスト自転車の分類は?/アシスト方式とE-bike

第2章 スポーツバイクのメカニズム ―基礎編―
スポーツバイクの構成要素を考える/ハンドルのレバーの役割は大切/フロントフォークはいつ頃曲がった?/ブレーキの種類/スポークホイールの構造/チューブが入っていないタイヤと今/BBってなに?

第3章 スポーツバイクのメカニズム ―応用編―
フレームの設計/フレームの素材/ディスクブレーキとリムブレーキ/エアロダイナミクス/E-bike

第4章 スポーツバイクを構成するパーツ
自転車ねじとは?/タイヤと劣化/ベアリングの献身的な働き/スポークとニップルの関係/おちょことは?/ふんどしは2ヵ所/そのねじは締めないで/懐かしのフラッシャー

第5章 スポーツバイクのフィッティング
ポジションを数値化する/ライディングフォーム/サドルの種類/ハンドルの種類/スタック&リーチ

第6章 スポーツバイクに乗ってみよう
乗り降り/ペダリング/ハンドルを握る位置/コーナリングの基礎/ヒルクライム/適切なギア比を選ぶ

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