黒字のカギは「在庫回転率」、エイチームが手がけるECの自転車販売
「電子商取引(EC)事業が軌道に乗った」―。エイチームが手がける自転車通信販売サイト「cyma(サイマ)」のEC事業で初めて黒字化を達成した。「ようやくここまできた」と望月一宏執行役員EC事業本部長は胸をなで下ろした。
新型コロナウイルス感染症拡大で通勤など利用者が増加した自転車。その影響でサイマの売上高も伸長。2020年2―4月期におけるEC事業のセグメント別売上高は前年同期比約1.6倍、営業利益は5200万円と黒字転換した。
サイマは社内ビジネスコンテストで事業化した。経営理念に掲げる「今から100年続く会社にすること」を達成するため、13年にサービスを開始。同社によると、自転車の国内市場規模は2500億円。この市場で生き残っていくため、他社が提供できない価値の創出を目指した。
最大の特徴はネット注文した自転車を整備士が組み立て自宅まで送り届けることだ。主力商品は子育て世代に人気の電動自転車。シティーサイクルやクロスバイクなどもそろえており「実店舗より豊富な車種が特徴」(望月執行役員)という。
ただ、サイマはその在庫数に長年苦しめられてきた。そこで在庫数をおよそ半分まで削減。客単価の高さや回転率の高さを意識することで過剰在庫を防ぐ取り組みを進めた。
22年7月期をめどに通期での営業利益の黒字化を目指す。そのため「顧客が何に困り、どういう時に自転車を購入し、どのようなサービスが喜ばれるかを常に意識して改善を行い続ける」(同)と意気込む。(名古屋・浜田ひかる)