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「5G」1000円値下げで勝負に出たドコモ。KDDI・ソフトバンクを突き放すか

収益確保、非通信カギ
「5G」1000円値下げで勝負に出たドコモ。KDDI・ソフトバンクを突き放すか

ドコモは5Gの普及を図る(20―21年冬春新商品発表会)

NTTドコモは2021年4月1日から、大容量のデータ通信を使う人向けの新料金プランを投入する。第5世代通信(5G)は現行比1000円安価になり、4Gも同600円安くなる。5Gと4Gの価格差を小さくして5Gの普及を促す狙いがある。加えて、3Gからの移行需要を取り込む料金プランの新設も決めた。ただ一連の値下げで通信事業の減収は必至だ。収益確保のためにも非通信事業の成長が問われる。(電機に関連記事)

5G対応の新プラン「5Gギガホ プレミア」の月額費用は、利用可能データ量が無制限で6650円(消費税抜き)。4G向け新プラン「ギガホ プレミア」は上限60ギガバイト(ギガは10億)で6550円(同)。新プランにおける5Gと4Gの価格差は100円にとどまる。「できれば5Gに移って頂きたいので、5Gを選びやすくした」(鳥塚滋人常務執行役員)。

また、26年3月に終了予定である3Gからの移行需要を狙った「はじめてスマホプラン」も21年4月1日に投入する。月間利用可能データ量は1ギガバイトだが、月額費用は1650円(同)。3G対応のフィーチャーフォン(ガラケー)を使用中の高齢者などの取り込みが期待できそうだ。

ただ、一連の値下げで通信事業の収益性は低下する公算が大きい。田村穂積副社長は「競争力のある料金体系だと思っており、転入の強化と転出の抑止につながるが、それだけでは減収分は補いきれない」とみる。5Gギガホ プレミアはKDDIやソフトバンクの類似プランより2000円程度安いが、今後両社は対抗策を打ち出すとみられ、ドコモが支持を得られ続けるかは予断を許さない。

この意味でもドコモの収益のカギを握るのは、金融・決済といった通信以外の領域だ。「(非通信の)スマートライフ事業や法人事業で収入を補うという不退転の決意で値下げをしている」(田村副社長)。収益源多様化のスピードがこれまで以上に求められる。

日刊工業新聞2020年12月21日

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