ゲノム編集食品が流通へ。筑波大などがGABAの含有量約5倍のトマト開発
遺伝子を効率良く改変するゲノム編集技術を使って開発された食品が国内で流通する見通しになった。筑波大学生命環境系の江面浩教授と同大発ベンチャーのサナテックシード(東京都港区)が共同で開発した血圧を下げる成分を多く含んだトマトを、厚生労働省の専門調査会が安全性審査は不要と判断。同社が厚労省に販売流通を届け出て受理された。ゲノム編集食品の届け出は国内で初めて。
インターネットを通じて家庭菜園用に2021年春ごろから苗を無償提供する。その後、農業生産者に関連会社を通じて苗や種を販売する。収穫されたトマトが一般に流通するのは22年1―2月になる見通し。同社は苗や種にゲノム編集技術で品種改良したことを明記する。消費者庁は義務付けていないが、生産者がトマトを売る時にも同内容を表示してもらうようにする。
開発にあたって、ゲノム編集技術の一種「クリスパー・キャス9(ナイン)」を利用。アミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」の含有量を約5倍に高めた。これを遺伝子改変していない品種と掛け合わせて提供する。
日刊工業新聞2020年12月15日