アンジェス、ペプチドリーム、オンコリス...創薬ベンチャーは世界の救世主になれるか
新型コロナウイルス感染症が流行する中、創薬ベンチャーによるワクチンや治療薬の開発が活発だ。早急な実用化が求められる感染症関連の開発において、強みである高い機動力を生かす。現在、アンジェスがワクチンを開発しているほか、ペプチドリームやオンコリスバイオファーマなどが治療薬開発に名乗りを上げている。ペプチドリームは11月に新型コロナ治療薬を開発するための新会社「ペプチエイド」を立ち上げた。
ペプチエイドは、みずほキャピタル(東京都千代田区)や富士通など5社による共同出資会社。資金を集め、スピーディーに開発を進める。感染症収束という社会貢献を担う。
ペプチエイドの舛屋圭一社長は「5―10年後にできても意味がない。2020年内に開発候補化合物を決定する。最短で21年の秋には人での臨床試験に入りたい」と意気込む。
創薬ベンチャーであるペプチドリームが、治療薬開発だけでなく、イノベーションをリードする役割も担おうとしている。
一方、さらなる迅速さを求められるのが「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」の治療薬だ。肺で炎症性細胞が活性化されて組織が傷つく疾患で、重度の呼吸不全を招く。新型コロナの重症化および死亡理由の一つだが、治療薬がない。まさに今求められる領域だ。
日本でも臨床試験がスタートしている。ヘリオスは、米アサシスが創製した間葉系幹細胞製品「マルチステム」を、ARDSを適応症に開発中。19年から第2相臨床試験を実施している。新型コロナ流行で、同肺炎由来のARDSについても臨床試験を実施した。
またヒューマンライフコード(東京都中央区)も、へその緒由来の間葉系細胞を使った臨床試験に挑む。原田雅充社長は「創薬ベンチャーは意思決定フローがシンプルで早い。敏感なニーズに迅速に対応できる上、採算性のしばりもない。社会的意義を大事にできる」と明かす。感染症との戦いは、21年も続く。