NTT×独SAPが挑む製造業の供給網最適化。紛争発生や感染症下でも維持するには?
NTTは7日、独SAPとの戦略的提携を拡大すると発表した。SAPの統合業務パッケージ(ERP)の知見を活用し、製造業などの供給網最適化に役立つソリューションを共同開発する。NTTはネットワーク関連技術で貢献を図る。紛争の発生や感染症の拡大といった状況下でも供給網を維持したい需要を取り込む狙い。2021年度中に開発や実証実験を始める。商用化時期は未定だが、販売は主にNTTグループが担う見通し。
新ソリューションではデータ分析の即時性を追求し、企業が供給網に関する状況把握や意思決定をしやすくする。例えば拠点内にある備品や移動中の資産を追跡し、業務効率化や信頼性の高い物流の実現を図る。製品のトレーサビリティー(履歴管理)も強化する。
NTTはSAPと30年以上の協業関係がある。自社グループ向けには23年度までにSAPのERPを導入する計画。米中対立激化などに伴って供給網を見直したい需要は高まっており、両社は提携を強化することで対応製品の展開につなげる。
同日オンラインで会見したNTTの澤田純社長は「この連携で両社、そしてお客さまも、より持続的に強くなれると期待している」と述べた。SAPのクリスチャン・クライン最高経営責任者(CEO)は「SAPが自力でできることは限られているがNTTのように信頼できるパートナーと緊密に連携できれば(ビジネスの)機会は無限大になる」と語った。
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日刊工業新聞2020年12月8日