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「半導体の前工程製造装置は過去最高に」東京エレクトロン社長の読み筋

半導体製造装置市場が活況を呈している。第5世代通信(5G)、IoT(モノのインターネット)向け半導体需要増に伴い、半導体メーカーの投資意欲が旺盛だ。新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦などが不安材料となるものの、中長期での成長が期待されている。市場の見通しや環境変化への対応などについて、各社トップに聞いた。初回は東京エレクトロンの河合利樹社長。

―市場の見通しは。

「2020年は5G携帯端末向けの需要は少なかったが、来年はいよいよ伸びてくる。メモリーは、4―6月にコロナ禍によるデータセンター向け需要増で一気に増えたのが落ち着き、足元は調整期間に入っている。ただ21年以降プラスになっていく。20年の半導体前工程製造装置(WFE)市場は過去最高の見通しで、21、22年はそれをさらに上回るだろう」

―コロナ禍で国をまたいだ移動に制限がかかっています。

「コロナ禍でも、現地従業員・駐在員が装置の立ち上げを完遂した。今後は『評価活動』という装置納入前の検査・確認作業も、現地人材で行えるようにしていく。特にパソコンやスマホなどに使用される最先端の半導体の分野では、顧客工場先で装置の評価を行う重要性が増している。現地のスキル向上と駐在員の数を増やすことで、フロントラインを強化していく」

―アフターサービスを中心とした「フィールドソリューション(FS)」事業に注力しています。

「当社が出荷した装置の累計台数は7万4000台に上り、その数は年4000台ずつ増えている。(IoT技術を活用して客先の装置を監視する)『テレメトリックス』は、移動せずに顧客サポートできるため、効率性の観点からも重要になってきている。今後デジタル変革(DX)が進めば、テレメトリックスの幅はより広がっていくだろう」

―岩手県、山梨県の新棟で、エッチング装置や成膜装置の生産が始まりました。

「エッチング・成膜装置は、3次元(3D)NAND型フラッシュメモリーの多層化などで工程回数が増え、市場そのものが拡大している。一方、コータ・デベロッパ(塗布現像装置)は極端紫外線(EUV)に対応した装置が必要となるなど、付加価値が高まっている」

―米中貿易摩擦がもたらす影響をどう見ていますか。

「動向を注視していく。基本的なスタンスとしては、フェアにビジネスを展開するということ。我々の競合メーカーが中国顧客に供給できない事態になっても、そこの穴埋めをするようなビジネスは絶対しない」

【記者の目/アフターサービスで利益を】

コロナ禍でも稼ぐ力を見せる東京エレクトロン。ただ、米アプライドマテリアルズや蘭ASML、米ラムリサーチといった他の世界トップ企業と比べると、営業利益率は最も低い。利益貢献が期待されるFS事業をいかに拡大できるかが一つのカギとなる。コロナ禍によるDXの流れは追い風になりそうだ。(張谷京子)

日刊工業新聞2020年12月4日

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