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脱炭素のうねり!再生エネ100%を目指す中小企業の集まり、100社・団体目前に

再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す中小企業が結集した組織「再エネ100宣言REAction(アールイーアクション)」が発足して1年が経過した。参加は100社・団体の大台に迫り、2020年度中に14社・団体が再生エネ100%を達成する。政府が50年までの排出実質ゼロを目標に掲げるなど“脱炭素”への機運が高まっており、2年目のアールイーアクションにも追い風が吹いている。

脱炭素、広がる取り組みの輪

アールイーアクションに参加し、再生エネ100%を達成している千葉商科大学。キャンパスには太陽光パネルを設置

アールイーアクションは19年、中小企業や大学、産業団体、医療機関など28社・団体が集まって発足し、現在は3倍強の93社・団体に参加者が拡大した。50年までに使用電力を再生エネに切り替えると宣言し、進捗(しんちょく)を毎年公開することが加盟条件だ。

“本家”に当たる国際組織「RE100」は14年、欧米の企業グループが立ち上げた。年5000万キロワット時以上の電力使用が条件となっており、大企業が対象だ。日本からはソニーやパナソニックなど42社・団体が加盟する。アールイーアクションは100社・団体に迫っており、中小企業の再生エネへの関心の高さがうかがえる。

再生エネ100%を達成した中小企業も相次ぐ。電子部品販売のマックス(東京都府中市)、山田建設(山形県最上町)などアールイーアクションの9社が19年度に再生エネ化を完了。20年度中に千葉商科大学を含めた合計14社・団体が達成する。いずれも再生エネで発電したと分かる電気の購入で実現した。

アールイーアクションの発起団体の一つである地球環境戦略研究機関の三好信俊専務理事は「新型コロナ感染流行の影響なのか、想定よりも参加者が増えなかった」としつつも、「方向性は間違っていなかった」と手応えを語る。そして脱炭素への潮流を追い風に「取り組みの輪を広げる」と意気込む。

自治体と連携、すそ野拡大

活動2年目で重視するのが自治体との連携だ。環境省によると排出ゼロを目指すと表明した自治体は19年9月は4都市だったが、現在は175都市に増えた。こうした自治体が目標を達成するには、地元企業の協力が不可欠だ。アールイーアクションには再生エネ普及を促進する自治体が登録する「アンバサダー制度」がある。ゼロ宣言した鳥取県はアンバサダーとなり、地元企業にアールイーアクションへの参加を呼びかけている。12月18日には県が主催し、再生エネ導入セミナーを開催するなど連携が具体化している。

参加者への情報提供も重視する。再生エネ化した企業から成功事例などを聞き取り、公開を始めた。再生エネは高価と思われがちだが「電気代は以前よりも安くなった」などの体験談を参加者が共有し、中小企業の再生エネ100%達成を後押しする。

アールイーアクションへの参加者が増えたとはいえ、大多数の中小企業は再生エネへの関心が薄いのも事実。再生エネを活用する中小企業が評価される制度も必要だ。脱炭素への機運の高まりは中小企業の再生エネ導入の課題を解決するチャンスであり、アールイーアクションの活動に期待がかかる。

日刊工業新聞2020年11月27日

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