部下の辞める原因は上司のクセのせい?「悪いクセ」チェックリストを試そう
「“令和上司”に必要な力とは?」の2回からは書籍『令和上司のすすめ 「部下の力を引き出す」は最高の仕事』の著者である飯田剛弘さんに、理想の令和上司になるべく道筋について解説してもらいます。
まず、自分がどのような悪い癖を持っているか、客観的に把握するところから始めてみましょう。いずれ上司となる世代の方は「部下」を「同僚」や「後輩」に当てはめて読むと、自分の性格の特徴が見えてきます。また、自分の上司の姿を想像しながら読むと、攻略法が見つかるかもしれません。
自分の悪い癖を見つけるチェックリスト付き。試してみてください。
私が、東南アジア地域でマーケティングマネージャーのポジションを募集したときの話です。日本に比べて人材の流動性が高い東南アジアでは、求人数・求職者数が多いという話は聞いていました。そして実際に募集をかけたら、応募数がまたたく間に二桁になったのは驚きでした。ですが、それよりも印象的だったのが、私が面接した多くの候補者から同じ質問を受けたことです。
それは、「チームの勤務年数」についての質問でした。
最初は普通に答えていましたが、さすがに3回、4回も同様の質問がきたので、僕も気になりはじめ、「なぜ、その質問をするのか?」と質問を返すようになりました。すると、彼ら彼女らによれば、「会社には少なからず問題はあるかもしれない。けれども、仕事がしやすいかどうかは上司による」とのことでした。候補者は自分の上司となる人が、部下にとって働きやすい環境を作ってくれるのか、そもそも一緒に働きやすい相手なのかを知ろうとして質問をしていたのです。上司となる人が部下の期待に応えられるのかという視点で評価していたのです。
部下への向き合い方や接し方に問題があると、部下との関係はうまくいきません。例えば、部下から残業が多いと相談を受けたときに、「残業が多いのは、あなたの仕事が遅いから」と言ってしまうような人は、間違いなく「できない上司」でしょう。また「自分で考えてみて」とだけ伝え、部下任せで、何の解決のサポートをしないのもよくありません。実際には「何かしらの理由で仕事を終えるのに時間がかかっている部下に対して、何も対策やサポートをできない上司」にも問題があるのですから。
悪い言動や習慣、それらをついやってしまう癖を直すことは、部下とうまく仕事を進める上で重要なことです。書籍『令和上司のすすめ』で、いくつかの上司の悪い癖を紹介していますが、それ以外にも、ついついやってしまう悪い癖はあります。
「自分の悪い癖を探してみよう!チェックリスト」を使って、まずは自分の悪い癖を見つけてみましょう。
□ 部下に対して、ついやってしまう悪い癖がある
□ 「相手を正そう」としてしまう
□ 「何か役に立つことを言わなければならない」と思っている
□ 人の話を最後まで聞いていない
□ 完璧にこだわってしまう
□ 自分と似ている人をえこひいきしてしまう
□ 責任逃れしてしまう
□ 部下の手柄はすべて上司の手柄だと思っている
□ 業務に必要な情報や資料を部下と十分に共有できていない
□ 部下の愚痴に同意し、自分も愚痴を言っている
□ 部下からの休暇申請の承認を渋ってしまう
次回から、悪い癖を直すコツを紹介していきます。
【略歴】飯田剛弘(いいだ よしひろ)愛知県生まれ。2001年、南オレゴン大学卒業(全米大学優等生協会: Phi Kappa Phi 所属)後、インサイトテクノロジー入社。2004年よりインド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本の出版翻訳に携わる。マーケティングに特化後は、データベース監査市場にて2年連続シェア1位獲得に貢献。市場シェアを25.6%から47.9%に伸ばす(ミック経済研究所)。
製造業の外資系企業FAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者として、日本から海外にいるリモートチームをマネジメント。アジア太平洋地域でのマーケティングやプロジェクトに取り組む。人材育成や多様性のあるチーム作りにも力を入れ、1on1ミーティングは1,000回を超える。
2020年、ビジネスファイターズ合同会社を設立。現在、多様なメンバーと協働し、グローバルビジネスで結果を出してきた経験を基に、経営やマーケティングの支援、グローバル人材の育成やリモートチームのマネジメント支援(研修・講習・執筆)など多方面で活動中。
著書に『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)、『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)、『こじらせ仕事のトリセツ』(技術評論社)がある。
https://bizfighters.com/
【令和上司診断にチャレンジ!】
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書名:令和上司のすすめ 「部下の力を引き出す」は最高の仕事
著者名:飯田剛弘 著
四六判、296頁、1,650円
<販売サイト>
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<書籍紹介>
令和の時代に必要な「上司の務め」を棚卸し。成果を出せない社員の扱いに苦悩する一方で自身も仕事変容に迫られる上司に、部下への仕事の授け方や距離の保ち方を詳述。チーム・個人双方で結果を残す鉄則を整理します。育てるプロセスから自身が成長できる勘所も示します。
特集・連載情報
書籍『令和上司のすすめ 「部下の力を引き出す」は最高の仕事』の発売を記念し、特集「”令和上司”に必要な力とは?」を連載する。第1回では、著者・飯田剛弘さんに「令和の上司」の役目を解説してもらう。