グーグルの「Chromebook 」出荷台数10倍のワケ
MM総研(東京都港区、関口和一所長、03・5777・0161)は、米グーグルの独自OS(基本ソフト)を搭載したノートパソコン「クロームブック」の2020年の国内出荷台数が前年比10・5倍の157万1000台となるとの予測をまとめた。政府が「GIGAスクール構想」で全国の公立小中学校に1人1台の端末を配備する中、多くの自治体がクロームブックを採用したことが出荷台数の急増につながっている。
国内ノートパソコン総出荷台数にクロームブックが占める割合でも、19年の1%から20年に13%に増える見込み。最も出荷台数が多いと予想される21年1―3月期を含む21年の出荷台数は同79・2%増の281万5000台と予測。国内総出荷台数に占める割合も同11ポイント増の24%を占める見通しだ。
MM総研が端末OS選定要因や目指す活用法について10の自治体に行った聞き取り調査によると、クロームブックは、情報通信技術(ICT)活用基盤にクラウド利用を前提とし、政府補助を含む予算内で安心安全にとどまらない多様な授業や指導を実現する観点で自治体に選ばれているという。ブラウザー(閲覧ソフト)「クローム」を通じクラウドで共同作業するアプリケーション(応用ソフト)の利用が前提で、端末のCPUやメモリーが低コスト構成でも処理が軽快な点が支持を集めているとみられる。
コロナ禍で「GIGAスクール構想」の端末配備が従来の4カ年計画から1年に大幅前倒しされたことで国内ノートパソコン市場の拡大にもつながっている。クロームブックだけでなく、米マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」搭載のタブレットや画面回転型ノートパソコン、米アップルの「iPad(アイパッド)」の出荷も好調。20年の国内出荷台数は過去最高だった19年を超える1196万5000台になる見込み。