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拠点再編プロジェクトを終えるボッシュ、IoTの導入で製造現場はどう変わる?

拠点再編プロジェクトを終えるボッシュ、IoTの導入で製造現場はどう変わる?

東松山工場ではIoTなどを活用した生産性の向上に取り組んでいる

独ボッシュの日本法人、ボッシュ(東京都渋谷区、クラウス・メーダー社長、03・3400・1551)は、主力工場に東松山工場(埼玉県東松山市)を位置付ける。主にディーゼルエンジン部品を製造する。トラックなど商用車向けが多く、ディーゼル発電機や農機、冷凍コンプレッサーにも使われる。国内向けは約2―3割で残りは輸出される。

ボッシュは1911年(明44)に日本で事業を開始した。東松山工場は旧ヂーゼル機器がボッシュからライセンスを取得し、40年(昭15)にディーゼルエンジン部品の生産を開始したのが始まりとされる。現在は国内生産拠点を再編するなど効率化を推進する。同部品を製造する太田工場(群馬県太田市)の機能を東松山工場に統合するプロジェクトを10月末に終える計画だ。

一方、ボッシュグループは生産性向上を目指して製造現場のネットワーク化を進めている。東松山工場でもIoT(モノのインターネット)を導入し、生産改革に取り組んでいる。例えばインジェクター生産では製造ラインの各工程で機械の稼働状況を監視。稼働データを自動収集し、人間では気づきにくい、ちょっとした停止時間も見える化した。小西宏典執行役員パワートレインソリューション事業部製造部門東松山工場長は「人手が減る中でシステムを使ったモノづくりの効率化を模索中」と話す。

足元では工場内の新型コロナウイルス感染症対策に力を入れる。従業員の検温やマスクの着用、アルコール消毒などを徹底。製造ラインの一部や出退勤時などの人が密集する場所の感染対策を強化した。新型コロナの感染が拡大した3月には、5段階の感染リスクのレベルに応じた行動指針が示された。これまで予防の徹底で感染は確認されていない。今後もコロナ対策の手綱を緩めず事業の継続に努めていく。(松崎裕)

【工場データ】

東松山工場は1939年に設立した。敷地面積は約16万平方メートル、延べ床面積は約9万平方メートル。従業員は7月末現在で1468人。主に燃料噴射ポンプやコモンレールといったディーゼルエンジン部品を生産する。

日刊工業新聞2020年10月20日

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