鉄鉱石やコークスの投入量を自動調整する技術、日本製鉄が室蘭製鉄所から順次導入
日本製鉄は製鉄所の高炉で、鉄鉱石やコークスなどの投入量、熱風の吹き込み条件を自動調整する技術を運用する。操業から約20年経つ高炉を改修する際に同技術を順次導入する。11月下旬にも再稼働する室蘭製鉄所(北海道室蘭市)の高炉でデータ解析や検証を重ね、国内初運用につなげる。次いで2022年に改修し、稼働する名古屋製鉄所(愛知県東海市)の高炉に適用する。熟練者の感覚や経験への依存を減らし生産効率化につなげる。
日本製鉄が高炉で導入・運用する自動調整技術は、炉体周りに取り付けた温度計やセンサーなどの測定データとその解析で、最適な条件などを割り出す。
改修を終え、再稼働する室蘭の高炉に導入するものの、火入れ直後から自動調整を行えるわけではないという。初運用でもあり、データの蓄積や検証を進めつつ、稼働させる。
同じ鉄鉱石の投入でも、焼結鉱かペレットかで性質や状態が異なり、投入する時間、原料の供給元などの諸要因を総合的に判断する。その調整は従来“職人技”とされてきた。
日鉄は高炉の操業状況を、3次元で瞬時に把握できる解析支援システムを各製鉄所に順次導入している。自動調整技術のベース部分は、これら蓄積してきたデータを活用する。
日刊工業新聞2020年10月19日