東北大と島津が開発した話題の呼気診断、何がスゴい?
東北大学と島津製作所の共同グループは、呼気から新型コロナウイルス感染症を診断する手法を開発した。東北大が試作開発した呼気に含まれる微粒子(エアロゾル)の回収装置を使って、患者により安静時呼吸で5―10分程度にわたり吹き込まれた息から呼気を回収。これを冷やし、1ミリリットル程度の液状の試料を抽出し、質量分析装置で分析する。新型コロナの簡易検査手法として期待される。この冬から来春にかけて臨床研究にめどを付け、その後承認申請をし、早期の実用化を目指す。
東北大医学部内に5月に専用の研究センターを設置し、新型コロナの診断法を開発してきた。
東北大学が試作開発を進める呼気回収システムと全自動前処理システムを使って、呼気からウイルスを含む凝縮液を採取してウイルスを不活化した後、ウイルスのたんぱく質やリボ核酸(RNA)、生体由来の代謝物を自動抽出するシステムを構築する。
その後、島津製作所の既存の質量分析計を使って、呼気から抽出した生体分子を網羅的に解析する「呼気オミックス」やゲノム解析によって、定量的・定性的に分析し、新型コロナを非侵襲で迅速に診断する。
東北大と島津製作所は今後、呼気オミックスの応用範囲を感染症以外の病気の診断や、健康診断など健康医療分野へと展開する計画。
日刊工業新聞2020年10月19日