新型コロナ治療薬の有力候補、「レムデシビル」の次は?

アクテムラ・アビガン、臨床最終段階

  • 1
  • 4
関節リウマチ治療薬「アクテムラ」

新型コロナウイルス感染症の治療薬開発が進む。世界的な感染拡大に伴い、各国で既存薬を使った臨床試験が始まった。国内でも4月以降新型コロナの流行が本格化し、製薬企業や大学が臨床試験を実施する。約半年が過ぎ、各治療薬候補の効果が少しずつ明らかになってきた。承認されれば、新型コロナの克服につながる可能性がある。(安川結野)

中外製薬の「アクテムラ」は、炎症を引き起こす物質「インターロイキン―6(IL―6)」の作用を阻害する作用を持つ関節リウマチ治療薬で、新型コロナ感染症治療薬の有力候補だ。

【退院期間短縮】

中外製薬の親会社のスイス製薬大手ロシュは3月、米国や欧州などで第3相臨床試験を開始。臨床状態や死亡率などの評価項目は未達だったものの、アクテムラを投与した患者では退院までの期間が8日短縮した。また、医療サービスを十分に受けられていない少数派の人種、民族を中心に米国や南アフリカなどで実施した試験では、アクテムラの投与で人工呼吸が必要となる可能性が低下した。

日本からロシュの試験への参加はないが、国内でも重症の入院患者を対象としたアクテムラの第3相臨床試験が進行中だ。中外製薬は、海外の試験で得られた結果も踏まえ、国内での承認申請の方針を決めるとしている。

【月内申請目指す】

富士フイルムの新型インフルエンザウイルス感染症の治療薬「アビガン」も有力な治療薬候補だ。3月から新型コロナ患者を対象とした第3相臨床試験を実施し、10月中の承認申請を目指す。

アビガンは早期から新型コロナ感染症治療薬候補として注目を集めた。それだけに、承認時期や手続きにさまざまな臆測が飛び交う。これに対し、田村憲久厚生労働相は「申請前から承認時期が決まっていることはあり得ない。有効性と安全性をしっかり評価する」と強調した。

現在新型コロナ感染症の治療薬として、国内では米製薬企業ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」が承認を受ける。今後、異なる作用点を持った医薬品が臨床で使えるようになれば、治療効果の向上につながる可能性がある。流行第2波、第3波と警戒感が高まる中、治療薬の実用化が新型コロナ克服のカギを握る。

日刊工業新聞2020年10月8日

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる