「なぜ自動車は4輪なの?」三菱自動車の小学生自動車相談室
三菱自動車の「小学生自動車相談室」が28年目を迎えた。企業で消費者の相談窓口が設けられ、小学校の授業でも自動車産業を取り上げるようになったことを受け、1993年に始めた。小学生が対象の相談窓口は業界唯一の取り組みだ。2020年も7―12月の期間に電話やウェブサイト、郵便などで寄せられる相談や質問に答える。安良岡(あらおか)茂お客様関連部部長に狙いを聞いた。(日下宗大)
―相談の件数や内容を教えて下さい。
「件数は相談室を開設する半年間で例年100件規模、累計約3600件となる。主に車の機構や工場の生産に関する相談や質問に答えてきた。最近は電気自動車(EV)や環境対応、エアバッグの構造といった問い合わせもある。専用回線から着信があると普段は大人を対象とする『お客様相談センター』の相談員は、『小学生相談室』のモードに頭を切り替えて応対する」
―変わった質問もありそうですね。
「『なぜ自動車は4輪なのか』といった質問もある。素朴な疑問にも頑張って答えている。即答できない場合は開発部門にも照会して回答する」
―先生と生徒の関係に似てますね。
「電話では相手が知ってる言葉に合わせて、理解するのを待ちながらゆっくり話す。希望者には後で文面も送ってる。手間はかかるけれど分かってもらいたい。車の良さやモノづくりの面白さを知ってほしい」
―30年近くも続けられた理由は何ですか。
「毎年、多くの相談件数があり、少しでも力になりたいからだ。疑問に対して相談員が一生懸命に回答すると、子どもたちも一生懸命『ありがとう』を返してくれる。それがうれしく、続いてきた理由の一つだ。工場見学や出張授業の実施、当社ホームページなどで子ども向けコンテンツを充実させてきた」
―企業の社会的責任(CSR)活動における位置付けは。
「当社のCSRの基本的なテーマは持続可能な社会に貢献する『サステナビリティー』だ。小学生はこれからの社会を担っており、豊かな成長を支える活動をしていきたい」