東京ディズニーランド、「新常態+新エリア」で復活の魔法をかける
新型コロナウイルス感染拡大で、観光業は壊滅的打撃を受けた。先行き不透明感が漂う中、オリエンタルランド(OLC)が運営する東京ディズニーランド(TDL)が過去最大規模の開発を完了し、大きな変貌を遂げた。ゲストの安全確保のためのソーシャルディスタンス確保や入園者数の制限などニューノーマル(新常態)を運営に取り入れ、“夢の国”が復活に向け新しい魔法をかける。(千葉・前田健斗)
三つのエリアにまたがるTDL史上、最大規模の開発は2017年4月に着工。総額約750億円を投じた“バージョンアップ”で明るい未来が描かれていたが、コロナ禍の影響で今年2月からは臨時休園に追い込まれた。OLCでは19年度の来園者数を開園以来過去2番目に多い3150万人以上と予想(1月時点)。だが、結果は前年度比10・9%減と大幅減となった。4月に予定していた「美女と野獣」などのエリアの開業も延期。JR東日本によると玄関口である舞浜駅の19年度の1日平均の乗車人員は7万8811人(前年度比5・2%減)と落ち込んだ。
こうした中での新エリア開業に、OLCも万全の体制で臨む。現在、入園には事前にオンラインで日付指定のある入場券の購入が必要だが、新設の「美女と野獣“魔法のものがたり”」「ベイマックスのハッピーライド」のアトラクションなどは混雑を想定し、入園後にスマートフォンのアプリケーションで事前エントリーする新たな方式を取り入れた。OLCの早川清敬執行役員は「パークは永遠に完成しないという考えのもと、引き続き魅力を高めていきたい」と強調する。
国内最高の人気を誇るTDLの新エリア開業は、経済再生に加えて感染拡大防止と顧客満足度の向上を目指すウィズコロナへの挑戦に大きな意味を持つ。
日刊工業新聞2020年9月28日