【チタン×ステンレス】 電気と圧力で異種材を高強度接合!阪大が新技術
大阪大学接合科学研究所の藤井英俊教授と釜井正善技術専門員らは、異種材料の接合部を元の材料以上の強度で接合する技術を開発した。材料に圧力をかけながら電気を流して接合部を加熱する独自技術「圧力制御通電圧接法」で、チタン合金とステンレスの強固な接合に成功。約1秒と極めて短時間かつ低温で接合できるため省エネルギーで二酸化炭素排出も抑える。温度と圧力の条件が分かればさまざまな金属で応用できるという。
圧力制御通電圧接法は、常温では変形しない程度の圧力をかけながら通電すると材料同士が接する界面のみ高温になるジュール熱を利用して接合する。加熱で変質した材料は圧力により外部に押し出され、他の部分は変質しないため元の材料の強度が維持される。強度の異なる異種材料でも、界面が双方の強度が等しくなる温度にするよう圧力を制御して接合可能。
低温で高強度のチタン合金と高温で強度を保つステンレスの強度が一致する約870度Cに界面温度が達するよう圧力を制御して接合した。
従来技術では接合部の強度がステンレスの30―60%しかなく外れやすかったが、同技術ではステンレス以上の強度を達成した。チタンの高い耐食性を生かせる海岸近くの建造物や生体材料などで需要を見込む。
同技術は科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業で、摩擦に代わる新規接合技術として開発された。研究成果は9―11日にオンラインで開かれる溶接学会秋季全国大会で発表される。
日刊工業新聞2020年9月9日