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美しい星空のまちを守る、パナソニックの「まぶしすぎない灯り」

星空と町並みを共存した風景を後世に残すために―。岡山県井原市が美しい星空で有名な市内の美星町地区において、パナソニック独自開発の街路灯を導入した。夜間に点灯してもまぶしさを最小限に抑えることで、星空を見えやすくする。必要以上の明るさによって生じる「光害(ひかりがい)」への対策として期待される。防犯機能や環境保護、美観を両立させる取り組みが今後、全国規模で加速するかも知れない。(大阪・園尾雅之)

導入した街路灯は上方への光の漏れを示す「上方光束率」をゼロにし、色温度を青色光が少ない3000ケルビン以下に抑えたのが特徴。光害問題に取り組む国際ダークスカイ協会(IDA)による「星空に優しい照明」認証を日本メーカーとして初めて取得した。

美星町地区は井原市編入前の1989年、日本初の光害防止条例を制定。国内有数の天文台を有するなど“星空のまち”として有名だ。このほどIDAによる「星空保護区」の認定を受けるべく整備を進めてきたが、既存の街路灯ではまぶしすぎると指摘された。

そこで井原市は2019年、パナソニックへ独自照明の開発を依頼。既に数台を試験的に設置した。今後は440台購入し、順次交換作業を進める。順調にいけば、21年中にも保護区認定が下りる見込みという。井原市未来創造部定住観光課の藤岡健二課長補佐は「今回のような官民連携を推進し、交流人口の受け皿を整備したい」と、認定後を見据えた取り組みを急ぐ。

光害は天体観測の面だけでなく、動植物の生態や人体の健康への悪影響なども懸念されている。だがIDA東京支部代表の越智信彰東洋大学准教授は「日本人は明るいことは良いことだという先入観が強い」と指摘する。

パナソニックは照明器具大手として、世界中に“明るさ”を提供してきた。今後は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも、環境との調和を重視した提案がさらに求められそうだ。

日刊工業新聞2020年7月30日

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