パナソニックが30社と連携して取り組むIoTプラットフォームの中身
パナソニックが画像データ向けIoT(モノのインターネット)基盤サービス「ビューレカ・プラットフォーム」の普及に向けた“仲間作り”を進めている。2017年に開始した同サービスは、カメラとコンピューターが一体化した端末「ネットワークカメラ」を使用。ただ、ハードウエアのカメラがあっても、エンドユーザーに十分な価値を提供できる仕組みづくりが必要だ。そこで外部企業30社以上と連携し、活用領域の拡大を狙う。
「ハードではなくインフラで貢献したい」。そう力強く話すのはビューレカ事業を率いる宮崎秋弘テクノロジー本部エッジコンピューティングPFプロジェクト総括担当。同社は連携企業のアプリケーション(応用ソフト)開発の環境を提供したり、遠隔保守などの管理を行ったり、あくまでプラットフォームの整備に徹する。ビューレカを使った新サービスを開発する連携企業と役割を分担する。
ビューレカは小売業や建設業、製造業、さらに介護分野と利用の幅が広がっている。例えば、店舗面積約1250平方メートルのドラッグストアでは店内にビューレカのカメラ96台を設置。客の人数を計測するのはもちろん、性別や年齢の推定、滞留時間を通して売り場状況を見える化する。ビューレカはカメラ側で映像を人工知能(AI)処理でき、クラウドで行う分析作業にデータ量の負荷をかけないよう工夫している。さらに設置場所も困らない形状となっている。
このほか建設現場、工場、オフィスでの作業員や従業員の入退室管理にも活用。介護施設では離床検知にも役立てられる。
ビューレカの普及を目指し、19年からセミナーも開始。1月の「IoTデータ活用の事例」をテーマに開いた第3回セミナーには58社111人が参加した。
電気やガスだけでなく、ITも重要なインフラになってきた。同社は映像とITをつなぐビューレカにより、「カメラで社会インフラを作る」(宮崎総括担当)と意気込んでいる。(日下宗大)