日本製鉄がドローン運用開始、点検や測量を効率化へ
日本製鉄は2―3年以内にも、製鉄所の設備点検や測量に飛行ロボット(ドローン)の活用を始める。画像の撮影や超音波測定などを通じ、煙突の保守点検や原料置き場での測量などを効率化させる考えだ。自動操縦による活用も探る。製鉄所などは広大で移動に時間がかかり、高所で危険を伴う場所が少なくない。ドローンを巡る国の規制緩和や支援策の動きをにらみながら、検討と実証を進めていく。
日本製鉄は全国の製鉄所・地区の設備を対象に、どの箇所のどんな作業にドローンが適用可能かを整理する。ドローンの操縦免許の取得を視野に入れて、操縦士の育成も検討する。
東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)ではドローンによる煙突点検などを実証しており、今後、各拠点に広げる考えだ。従来は操業を止めないとできない点検作業や、危険な場所のため行えない作業もあった。ドローンなら煙突の裏側なども確認でき、画像処理や超音波センサーで温度やガスの色などが容易に測定可能という。
ドローン活用について政府は、2022年度にも「有人地帯での補助者なしの目視外飛行」の実現を目指す方針。政府の規制改革推進会議も、インフラ構造物の保全・管理などにドローンを活用できるように、航空法や電波法などの関連規制を緩和するよう国に求めている。
鉄鋼業界ではJFEホールディングスや神戸製鋼所もドローン活用を検討中。日本鉄鋼連盟はAI/IoT普及促進検討アドホックグループを設置し、課題の整理や政府への要望などを行っていく。