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キャッシュレス化の妨げ。閉鎖的な「全銀システム」にメスを入れろ!

銀行間送金の基幹システムである「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」が閉鎖的だと厳しい目が向けられている。銀行同士の送金にかかる手数料が40年以上同じな上、システムへの接続は銀行などの金融機関に限られている。政府はキャッシュレス決済の普及の妨げになると問題視する。運営する全国銀行資金決済ネットワーク(東京都千代田区)は5月にタスクフォースを立ち上げ、システム開放を含めた検討を始めた。(取材=編集委員・六笠友和)

手数料引き下げ・システム開放

「合理的な水準へ引き下げを図りたい」。安倍晋三首相は今月中旬の未来投資会議で、40年以上変わっていない銀行間の送金手数料にメスを入れるとした。首相発言に先立ち、公正取引委員会は4月に「現状是正に向け取り組むべきだ」との考えを示していた。政府は日本経済の成長戦略の一つにフィンテックを位置付ける。高止まりの銀行間手数料や、ノンバンクのキャッシュレス決済事業者がシステム接続できない排他性を改めるべく、具体的な検討に入った。

全銀システムは、内国為替取引の中核を担う。取扱高は今年5月に232兆円・1億1200万件と日本経済の重要インフラだ。内国為替取引は国内で離れた個人や企業の間で、現金を運搬することなく日本円の受け渡しを行う取引を指す。

例えば、A社のB銀行の口座から、C社のD銀行の口座へ資金を振り込む際に全銀システムを介する。送金時、B銀行からD銀行には手数料が支払われる。手数料は両行で定めるのだが、消費税抜きの料金は3万円未満=117円、3万円以上=162円で固定化している。公取委の銀行への聞き込みでは「発生するコストに対し、手数料が高過ぎると思う」などと内部でも疑問の声があがる。確かに処理に手作業が多かった40年程前と現在が、同額であることに違和感はある。

全銀システムを利用するのは、銀行、信金・信組などの約1200の金融機関だ。数は膨大だがノンバンクのキャッシュレス事業者は接続資格がない。利用者や加盟店への入出金は、接続資格のある銀行などを中継しているのが実情だ。政府は手数料や接続性が「キャッシュレス決済普及の障害になっている」と指摘する。

4月の公取委の指摘を受け、全国銀行協会はタスクフォースを立ち上げ、「当局とも連携しながら検討を進める」(三毛兼承全銀協会長)。手数料は銀行同士の契約に基づくため、全銀協が指導するのは難しさがあるが、「全く新しい仕組みを考えることが必要だ」と抜本改革も視野に入る。

一方、システム開放にはセキュリティー上の懸念がある。全銀システムは稼働以降ほぼ半世紀、大きな事故を起こしていない。全国地方銀行協会の大矢恭好会長は「全銀システムの信頼感を前提に利便性をどうあげるか考える必要がある」と強調する。全銀協はタスクフォースでの議論を重ね、2021年3月末までに方向性を示す考えだ。

日刊工業新聞2020年6月24日

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