環境に優しい化粧品の新潮流「クリーンビューティー」、普及のカギはパッケージ?
リサイクル容器など“一点物”の特別感
化粧品業界で「クリーンビューティー」と呼ぶ新潮流が出てきた。肌に優しい自然由来成分を使い、さらに容器に環境に配慮した材料を使った化粧品だ。自然派化粧品は一定の愛好者を獲得しており、その進化系ともいえるクリーンビューティー化粧品にも注目が集まる。ただ、化粧品に「環境に優しい」を求める層はまだ少ない。環境配慮性を生かした容器の特別感などで、プラスアルファの価値を訴求できるかが市民権を得るためのカギになる。(門脇花梨)
花王グループのエキップ(東京都品川区)は、クリーンビューティーの考え方を取り入れた化粧品ブランド「アスレティア」を2月に立ち上げた。商品に目をこらすと、かすかに容器の色にバラつきがあるのが分かる。
色つきのリサイクルガラスを採用したことがその理由だ。松岡美季ブランドマネージャーは「プラスチック容器も選択肢にあったが、ガラス製にすれば環境汚染の要因の一つとなっているプラスチックゴミを減らせる。さらにリサイクルガラスを使用しエコを追求した」と笑顔をみせる。
資生堂も新ブランド「バウム」を初夏に立ち上げる。こちらも容器が特徴の一つで、中身の入ったプラスチック容器を木製の外枠に入れ替えて使う。外枠は家具メーカーで余った木材でつくる。
背景にあるのは環境への配慮を製品を選ぶ基準にする消費者が増えつつある点。特に20―30代前半の世代は環境への意識が高いとされる。一方、否定的なデータもある。日本最大のコスメ・美容の総合サイト「アットコスメ」を運営するアイスタイルが同サイトでの口コミを解析したところ、この10年間で環境に関連したワードの出現率の伸びはみられなかった。
化粧品購入時に環境を意識する消費者は一定数いるが、まだ大きなうねりにはなっていない―。こうした実態が浮かび上がる。
ただクリーンビューティーに商機はある。同じくアイスタイルでの口コミ分析によると「パッケージ」というワードの使用率は10年前と比べ1・8倍に伸びた。容器も化粧品を選ぶ際の要素として存在感を高めている。
バウムの木製の外枠について西脇文美グローバルブランドマネージャーは「全て木目が違い、一点物として提案できる」と長所としてとらえる。花王の広報は「アスレティアのガラス容器の色ブレは個性になりうる」とアピールする。環境配慮から生まれた容器の特別感も訴求できれば、新たな顧客開拓につながりそうだ。