住宅探しに“コロナの風”、「バーチャル展示場」の開設相次ぐ
旭化成ホームズや三協立山など住宅・建材関連企業の間でバーチャル展示場をホームページに開設する企業が増えている。新型コロナウイルスの感染拡大で外出制限が続く中、少しでも顧客の購買意欲を喚起し、自社製品を売り込むための工夫だ。以前から仮想現実(VR)による内見を施す住宅関連企業はあったが、今回のコロナが一段と企業のITによる情報発信を後押ししそうだ。(取材・大城麻木乃)
旭化成ホームズは主力の一戸建て住宅のうち、外壁やインテリアなどを限定されたデザインの中から選ぶ商品「マイデッサン」でバーチャル展示場を始めた。2019年度に発売した比較的新しい住宅商品で、これまでも顧客のニーズがあれば個別面談でバーチャル画面を見せることはあったが、「コロナによる外出制限を考え、ホームページで一般公開することにした」(広報室)。9棟のモデルハウスを公開し、好みの建物をクリックすると、VRで360度の間取りを見学できる。
千葉の住宅メーカー、エステージもコロナ対策の一環でバーチャル展示場をホームページに開設した。自宅にいながらVRで規格住宅を内覧し、ネット上で見積もり作成も行える。
三協立山は20日―10月20日の期間限定でバーチャル展示会「三協アルミワンダーWEB展示会」をホームページで開く。毎年、代理店・施工店向けに実施している展示会が今年は新型コロナで中止になったことに伴う措置。簡易車庫や外装材など44点の新製品を紹介する。広島ガスはガス機器やリフォーム商品を紹介する「広島ガスWEBモール」を立ち上げた。新型コロナで非対面の営業を強化する取り組みの一環だ。
住宅業界などでの需要増を背景に、リコーはショールームや不動産物件などをVRで紹介するクラウドサービスを、2カ月限定で無償提供する取り組みを始めた。導入支援プランとしての位置付けで、新型コロナの影響で不動産物件などへ直接、顧客を案内することが難しい事業者を主なターゲットにしている。
プロバイダー側の売り込みも相まって、VRを採用する企業が増えそうだ。