医療用の殺菌灯向けLED、新型コロナの不活化検証へ
ナイトライド・セミコンダクターが開発
ナイトライド・セミコンダクター(徳島県鳴門市)は、波長275ナノメートル(ナノは10億分の1)の深紫外線発光ダイオード(LED)モジュールを開発した。新型コロナウイルス感染症に対応している医療現場の殺菌灯などの用途で、既存の紫外線(UV)や水銀ランプからの置き換え需要を取り込む。
ナイトライドが4月中旬をめどに発売するのは「高出力深紫外線UV―LEDモジュール」。深紫外線LEDチップを放熱性の高いアルミニウム基板上に16個実装するなどで、光の出力は0・29ワットと同社モジュールの従来比約10倍の高出力化を実現した。寿命は約5000時間。価格は100枚からの量産受注時に1枚当たり6000円(消費税抜き)。年間3億円以上の販売を目指す。
開発したモジュールは20ミリメートル四方で厚さは4ミリメートル。病院の集中治療室(ICU)での殺菌ランプ用などに提案する。国立病院機構仙台医療センター(仙台市宮城野区)のウイルスセンターで大腸菌や黄色ブドウ球菌などの細菌とインフルエンザウイルス、ノロウイルスの不活化は検証済みという。今後1カ月以内をめどに新型コロナでも検証する予定だ。
医療現場の殺菌灯はUVや水銀ランプが使われる。ただUVランプは寿命が短く割れやすい点があり、2021年から国際規制「水銀に関する水俣条約」で水銀を用いた照明も製造、輸出入が禁止される。こうした背景を踏まえて今後、高出力の深紫外線LEDの普及が見込まれている。
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