「思っただけ」で動いてくれるロボットの秘密
「ブレイン・マシン・インターフェイス」で脳に疾患を持っていてもコーヒーが飲める
インプラント方式以外にも装着方式なども開発進む
臨床前試験は順調に推移している。非常に良好なS/N比(信号とノイズの比)を確認、これは神経スパイク波形を明確に測定できるレベルで、事前テストに用いたもっとも幅広の神経プローブと比較しても、同程度の信号を記録することがでた。この試験結果をもとに、ギャリガン氏のチームはNIHグラント(米国立衛生研究所の研究補助金)を申請し、臨床前研究を継続中だ。
ギャリガンの同僚のジェフ・アッシュ氏は、「ブレインゲート」を率いるブラウン大の神経科学者、ジョン・ドナヒュー氏のチームとともに、脳のニューロンが発する電気信号を把握する研究に取り組んでいる。「細胞レベルで何が起きているのかを明らかにしたい。個々のニューロンからの信号を記録、区別することができれば、その情報やニューロン回路が構築しているはずの機能を解析することも可能になる」とアッシュ氏。「今考えているのは、脳細胞の声を聞き、その言語を理解して、脳にフィードバックできるツール。これによって、脳と機械の双方向コミュニケーションが可能になるはずだ」という。
脳波を活用した「ブレイン・コンピューター・インターフェイス」は、今回のインプラント方式以外にも、装着方式のものもあり、様々な形で研究・開発が進められている。昨年発表されたGoogle Glassを脳波でコントロールするアプリ「MindRDR」もその例のひとつ。日本では、金沢工業大学で装着式のワイヤレス脳波計を用いた、ロボットハンドの制御、車いすを自律走行させるシステムの制御といった実験が行われ、それぞれ成果を収めている。
こうした脳波の研究・開発が脳疾患の治療に役立つ日が来るのは、そう遠い将来の話ではない。