ソニー、東芝、メルカリ、NTT…新型肺炎が就活直撃!セミナー取り止め相次ぐ
新型コロナウイルスの感染拡大が企業の採用活動にも影響を及ぼし始めた。多くの人が一堂に集まる会社説明会やインターンシップ(就業体験)の中止を決めたり、採用面接をインターネット上で行うなどしている。「検討中」という企業も多く、人手不足で「売り手市場」が続く中、各社は対応に追われている。
採用活動を直撃
新型肺炎の感染が広がる中、企業は相次いで採用のための会社説明会やセミナーなどの中止を決めている。東芝は2―3月に予定していた学生向け自社セミナーの開催を取りやめた。主に先輩の話が聞ける就活イベントで、23日に大阪、3月14日に福岡で開くはずだった。
シチズン時計は21日から3月中に開催を予定していた大規模な採用関連イベントを中止し、大和ハウス工業も就活生向け社内会社説明会を当面控える。NTTはグループ各社の採用に向けたセミナーや合同説明会への参加を原則中止し、動画配信やウェブサイトの活用を検討する。
金融機関では三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほ銀行が会社説明会をウェブでの動画配信に切り替えることにした。
パナソニックやセイコーホールディングス、大日本印刷、積水ハウスなども今後の対応を検討中としている。
既に都内で開催予定だった学生向け説明会を中止したソニーは代替措置として、学生向けに公開する動画の準備を進めている。
安全面に配慮
また、就職支援サービスを手がけるリクルートキャリアは3月1―31日まで合同企業説明会の中止を決定。参加する学生や人事担当者の安全面に配慮したもので、4月以降は状況変化を見極めながら再開を検討する。合同企業説明会は知名度の低い企業が自社をアピールする大きな機会だけに、今後の採用への影響が懸念される。
採用面接に関してもメルカリが原則オンラインで行うことにしたほか、シャープやSUBARU(スバル)、住友ゴム工業も今後の情勢を見極めながら対面式ではなくオンラインで実施することを検討しているという。
住友ゴムはインターンシップについても、25日に神戸本社で、3月以降に東京本社や各工場でそれぞれ実施予定だったが中止を決めた。日本生命保険も24日に東京で開催予定だったインターンシップを中止した。参加人数が1000人規模と大きく、多くの人が一堂に集まることになるため中止を決断した。
不安がる学生
こうした動きの中で、実際の就活生はどう思っているのだろうか。「就職説明会の中止の連絡をくれるのはいいが、その後の対応の連絡がない。代わりの日程を組んでくれるのかも分からない。企業を知る機会が失われるのは学生にも企業にもよくない」(都内の私大に通う男子学生)との声のほか、「具体的に会社を知る機会になる個別の会社説明会が中止になるのが怖い」(都内の女子大に通う学生)という不安が聞かれた。
一方で、都内私大に通う女子学生は「この時期になると新しい企業を開拓する気が起きないので、正直そこまで痛手ではない。企業を見始めた11月の時期とかに同じことが起きたら困りますが」と意に介さない。学生によっても受け止め方に差があるようだ。