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無印良品の「見つけ出す」チカラ

大ヒット商品 誕生の裏側
無印良品の「見つけ出す」チカラ

「足なり直角靴下」はチェコの伝統技術をアレンジした(©良品計画)

工場で無駄になっているモノや業務用として使われている製品、先人の知恵が生きている道具などを探し出し、それをできるだけシンプルな状態で商品化するのが無印良品の元々の哲学だ。

しかし企業の成長に伴い、一から自社で開発する商品が増えていった。そうした中、「探す」や「見つける」といった原点を問いただすため、「Found(見いだされた)MUJI」という活動が始まった。

具体的には無印良品のスタッフが世界中に足を運び、各地に根付く優れた製品を探し出し商品化していく。

その過程で大事にしているのは単にモノを探し出してくることだけではない。背景にある文化やその地域の空気感、伝統をしっかり伝えることも重要なテーマだ。

戦略を進めるうえで重要な役割を果たしているのが、良品計画のデザインアドバイザリーボードメンバーで、日本を代表するプロダクトデザイナー、深澤直人氏の存在だ。

生活に密着する形で使われた工芸品を中心に展示する日本民藝館の館長も務めており、両者の考えは似通っていることから、相乗効果を発揮している。

「見つけ出す」というこだわりが大ヒット商品として結実したケースもある。代表事例が、かかと部分を90度にすることにより、ずり落ちにくくした「足なり直角靴下」だ。ルーツは、チェコの母から娘へと受け継がれてきた毛糸製の手編みの靴下。現地に短期滞在していた人などの情報を参考にして、数年かけて商品化を果たした。

また、生産者がかかわる部分や生産工程について「資源を無駄にしない」といった観点を重視している点も特徴だ。具体的には上流部から逆算して全体像を組み立てることで、生地を裁断した時に発生する端切れの再利用を促進するなど高度な環境対策を講じている。

日系企業にとって持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みは今後の重点課題。良品計画の伝統工芸品に対する考え方はSDGsと密接にかかわっている。それだけに、同社の経営とデザインに関する手法は課題解決に向けた重要な指針となりうると言っても過言ではない。(秋山浩一郎・デロイトトーマツベンチャーサポ―ト第4ユニット)

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