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洗濯機はもう洗濯するだけじゃない!広がる機能・サービス

[時短家電]#1 ドラム式洗濯乾燥機
 2018年に共働き世帯数が専業主婦世帯数の2倍となり、家事の家庭内シェアや家事負担軽減が必要不可欠な社会になりつつあります。それに伴い、家事のやり方や、家事をする私たちの意識も変化を求められています。  これから始める「変わりゆく?家事」特集では、家電や家事代行サービス、住宅を取り上げ、家事負担軽減に対する解決策を探ります。
 

家事負担を軽減したい、と考える人がまず考えるのは「時短家電」の導入だろう。野村総研の調査でも時短家電の導入率は他の支援サービスと比較しても高い(※1)。
 現代の“新・三種の神器”として人気の集まっている「食器洗い乾燥機」「ロボット掃除機」「ドラム式洗濯乾燥機」だけでなく、冷蔵庫や調理家電など、さまざまな家電が家事のサポート役となるべく開発され、進化してきた。
 今回のテーマは「時短家電」。1回目は「ドラム式洗濯乾燥機」を取り上げる。

洗剤・柔軟剤を自動投入

汚れた衣類を洗濯機に投入、スタートボタンを押すだけで、数時間後にはふかふかに乾いた状態で仕上がる―これが実現すれば、日々の洗濯にまつわる“面倒”がいくつ解消されるか、毎日洗濯する人なら分かるだろう。

パナソニックのななめドラム洗濯乾燥機「NA-VX900AL」

洗剤や柔軟剤を計量し、投入する手間の軽減に着目したパナソニックは、2017年に他社に先駆けて洗剤・柔軟剤の自動投入機種を発売した。「購入者が魅力に感じた機能」1位に選ばれており、現在は7機種に拡大している。手間を省くだけでなく洗濯量に対して最適な量の洗剤・柔軟剤を投入できるため、経済的かつ仕上がりも良くなる(柔軟剤を入れすぎると黒ずみの原因になったりするため)。
 また、スマートフォンの専用アプリから遠隔地にいても洗濯を開始できる。「満足だと答える方は約8割と、便利だという声を聞いている」と同社ホームアプライアンス商品部の堀田亜希子氏は話す。

パナソニックの堀田亜希子氏

最新のドラム式洗濯乾燥機では、洗濯~乾燥ができる良さを生かした「タオル専用コース」も好評だ。タオルメーカーが監修し、パイルをしっかり立たせふんわりした仕上がりになる。搭載機種が発売されたばかりだが、購入者の3割が使用している。

アイロンの手間もなくしたい

日立も2018年に自動投入機種付きの機種を発売。さらに残量が少なくなると自動でAmazonに注文するシステムを2019年12月に開始した。
 また洗濯コースを設定する手間も省力化するべく、洗濯物の汚れや水温に応じてAIが自動で洗い方を判断する「AIお洗濯」機能も搭載した。

日立ドラム式洗濯乾燥機「BD-NX120E」

乾燥機能へのニーズも高まりつつある。「(乾燥機能付きの洗濯機の販売内訳として)今までは縦型とドラム式がほぼ半数で推移してきたが、ここ数年はドラム式の割合が少しずつ増加している」と同社グローバルライフソリューションズ家電事業統括本部の森島彰俊氏は話す。2007年という早い段階で、高速風で衣類のしわを伸ばす「風アイロン」機能を搭載。「当社の調査でアイロンがけが負担だという方が8割に上る。その手間を減らせるので使用者の満足度が高い機能」(森島氏)。

風アイロンの仕上がりイメージ(右)
 パナソニックと同様にアプリで洗濯開始できるほか、洗濯機に標準搭載されていない「スーツ」「ダウンジャケット」などの特殊な洗濯コースを設定できる。

日立の森島彰俊氏

こだわりたい人も…

ただ、「考えず、手間をかけず洗濯したい」というニーズがある一方で、洗濯に対するこだわりを持ち、「自分なりの洗濯」の実現を望む声も根強い。衣類による洗い分けや理想の仕上がりの違い、洗剤や柔軟剤の種類も様々だ。
 パナソニックでは洗濯コースに「おまかせ」を用意しているが、「わが家流」(自分で洗いやすすぎなどを設定する)の使用頻度も高い。メーカーとしても省力化とこだわりのバランスをどう取るかが悩ましいポイントだ。
 日立では新機種から、IoT(モノのインターネット)を活用した「わがや流AI」を搭載した。洗濯結果をアプリで評価してもらうことで、データが蓄積され、好みの仕上がりに近づいていく。「全員が使う機能ではないと思うが、『こだわり』と『省力化』を両立する解の1つになるのではと試行錯誤している」(森島氏)。

自動投入などの高機能が搭載されると必然的に価格は高くなる。特に洗濯機の価格はここ10年で高騰している。しかし「高くても高機能の製品を買いたい」というニーズは高まっており(※2)、「納得のいく製品であれば高くても選ばれることを実感している」(パナソニックの堀田氏)。
 日立の森島氏は「これまで洗濯機は洗濯するだけにとどまっていたが、自動投入や自動発注などを通して洗濯に関連する『サービス』として提供できるようになるのではと考えている」と話す。今後は洗濯に対する要求だけでなく、洗濯にまつわる家事をカバーするようになっていくのかもしれない。

実際に売れているのか

出荷台数の推移(※3)を見ると、必ずしも洗濯乾燥機が大きな伸びを見せているわけではない。洗濯機の出荷台数に対する洗濯乾燥機の割合は2017年からじわじわと伸びてはいるが2割前半にとどまっている。日立では洗濯機販売数の内訳として、ここ10年ほどは乾燥機能付きの洗濯機が約3割で推移しているという。
 ただニーズは増加している。「使えば良さが分かるけれど、使ってみないとわからない」というジレンマに対し、どうマーケティングしていくのかは課題になるだろう。

(※1)NRI「働く女性5,454人に聞く仕事とキャリアの本音調査」(2018年)
(※2)東京ガス都市生活研究所「共働き家計の調査2016」
(※3)一般社団法人 日本電機工業会「2019年度白物家電機器国内出荷見通し」

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昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
詰め替えボトルに入れるときに不器用すぎて毎回こぼすので、自動投入機能によってあのイライラがなくなるのもありがたいなと感じました。 またクリーニングに出す頻度も10年前に比べて減少しているそうです。柔軟剤や衣類側の進化もあると思いますが、洗濯乾燥機の進化も寄与しているのではと思いました。

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共働き世帯の増加のより、家族間での分担や外部サービスなどを利用した「家事シェア」が一般化してきた。家事負担を軽減する家電やサービスも増えている。取材を進めていくと変わりゆく部分、なかなか変わらない部分が見えてきた。

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