名門「飛行機子会社」の売却でリストラを加速させる造船メーカー
三井E&S、財務体質の改善急ぐ
連結子会社である昭和飛行機工業の保有株式すべてを、ベインキャピタルが投資助言を行うBCPEプラネットケイマンに売却することを決めた三井E&Sホールディングス。今回の売却で589億円の収入を見込む。三井E&Sはインドネシアの火力発電所工事の遅延により多額の損失が発生、事業や孫会社の売却などにより経営再建を急いでいる。昭和飛行機工業の株式売却もその一環で、経営再建は大きく前進することになる。
同社は昭和飛行機工業の株式65・6%を所有している。1957年の株式所有を皮切りに14年に公開買い付けで資本業務提携を行い、関係を深めてきた。今回の売却は財務体質および収益体質の強化が目的。
三井E&Sは19年11月のグループ事業再生計画で、三井E&Sプラントエンジニアリング(千葉市美浜区)のJFEエンジニアリング(東京都千代田区)への売却、太陽光発電事業の売却、千葉工場(千葉県市原市)の用地売却を公表済み。昭和飛行機工業株式の売却でさらに再建を急ぐ。
造船事業は千葉工場(千葉県市原市)の用地を売却するが、売却後に借用契約を結び、既受注工事は続ける。エンジニアリングセンターを新たに設立し、商船設計・建造エンジニアリング事業を独立運営方式とする。合弁会社を発足済みの中国企業をはじめ、海外造船会社との協業を促進する方針だ。千葉工場は商船から鋼構造物の建造にシフトする。
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日刊工業新聞2020年1月24日の記事に加筆・修正