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「舞鶴」は源流に戻る、JMUが商船建造から撤退へ

今治との提携を機に合理化へ、艦艇事業を主力に
「舞鶴」は源流に戻る、JMUが商船建造から撤退へ

中韓との競争激しく(舞鶴事業所で建造したバラ積み運搬船)

国内造船2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)が、舞鶴事業所(京都府舞鶴市)での商船建造から撤退する方向で検討していることが明らかになった。中小型バラ積み運搬船を中心に建造を続けてきたが、中国の造船所や国内造船所との競争激化で受注環境が悪化している。JMUは国内首位の今治造船(愛媛県今治市)との資本業務提携を決めており、自社の生産合理化に踏み切る格好だ。

JMUの舞鶴事業所は海軍工廠(こうしょう)を前身とし、日本海沿岸では随一の大型造船所。今後、艦艇事業を主力に運営していく。バラ積み運搬船やプロダクトタンカーなど国際的に競争の激しい商船からは手を引く方向だ。

舞鶴事業所での商船建造を打ち切る場合、筆頭株主のIHIやJFEホールディングス(HD)にも損失が発生する可能性がある。JMUは今後、超大型船を建造できる設備を持つ有明事業所(熊本県長洲町)や呉事業所(広島県呉市)、津事業所(津市)を中心に商船事業の競争力を高める。

JMUは11月末に今治造船との資本業務提携を発表。経営統合には踏み込まないが、商船の営業と設計の新会社を共同で設立するなど、広範囲での協業を進める。舞鶴事業所での商船建造からの撤退など生産合理化により、シナジーを最大化するとみられる。

造船業界では大型再編が相次ぐ。韓国では現代重工業が大宇造船海洋を買収する。中国でも中国造船首位の中国船舶工業集団と同2位の中国船舶重工集団が統合した。日本の造船所は重工系を中心に苦しい戦いを強いられ、商船事業の構造改革の必要性に迫られている。

三菱重工業は神戸造船所(神戸市兵庫区)での商船建造から撤退したのに続き、主力の長崎造船所香焼工場(長崎市)を大島造船所(長崎県西海市)に譲渡する方針。同様に商船建造を縮小する動きが広がる可能性が高い。

日刊工業新聞2019年12月20日

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