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日中韓の首脳は「変面」をとる?とらない?

中国の古都、成都には「変面」という伝統芸能がある。古典劇を演じながら、顔につけた面を一瞬で変え、喜怒哀楽を表現する。面の変化はどんなに目を凝らしてみても分からないほどで、その技は門外不出という。

成都は三国志の舞台にもなっている歴史のある都市だが、近年は産業振興も盛んで、発展が著しい。その成都で今日、日中韓首脳会談が開催される。東アジアの安全保障や経済連携が主要議題だ。

米中貿易摩擦を抱える中国の李克強首相は、仲間づくりを画策する。韓国の文在寅大統領は、在韓米軍のミサイル配備問題で冷え込んだ中国との関係改善と、日本が行っている韓国への輸出管理の厳格化解消が使命だ。

そして安倍晋三首相は、来年の習近平国家主席来日を踏まえた日中の協力関係再構築と、1年3カ月ぶりの日韓首脳会談では、元徴用工問題による日本企業の資産差し押さえの解決を迫る。

3カ国はそれぞれの思惑を抱いて集合する。文大統領も安倍首相も、李首相に見せる笑顔の面とは異なる面を用意しているようだ。ただ、変面は一子相伝の技で、素人が簡単に会得できるものではないという。ここは素直に面をとって素顔でお互いの思いを率直にぶつけ合うことが得策だ。

日刊工業新聞2019年12月24日

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