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「中古スマホ」購入、改訂ガイドラインで“安心”は手に入る?

バッテリー状態など明示へ
 

中古スマートフォンとスマホ修理の業界団体が立ち上げたリユースモバイル関連ガイドライン検討会(粟津浜一座長=リユースモバイル・ジャパン〈RMJ〉会長)は、消費者が安心して中古スマホを購入できるようにする指針の改訂版を策定した。12月1日に実施する。指針に準拠し、経営状況やガバナンス体制が健全と判断した中古スマホ取扱業者を認証する制度も始める。2020年4月までに1000店舗での認証取得を目指す。

 

中古スマホの外装格付け基準や利用者情報の処理方法を規定した指針の初版を3月に策定していた。改訂版では、中古スマホ購入の最大の懸念だったバッテリーの状態確認を推奨。ほとんどの端末メーカーが提供しているバッテリー状況確認機能の結果を店頭表示に記載するよう求める。

 

中古スマホの前所有者が分割払いの債務不履行となった場合に突然、端末の使用に制限がかかる「赤ロム」に対する保証を付けることも推奨する。純正部品を使って修理した「リファービッシュ品」の販売時は、端末メーカーや認定修理業者による修理であることを担保して明示する。

 

この指針に準拠し、経営状況やガバナンスが健全と判断された事業者を認定する「リユースモバイル事業者認定制度」への申請受け付けを12月16日に始める。申請した業者への実地検査を基に新美育文明治大学名誉教授ら5人の審査委員が審査。合格した業者は認証ロゴマークを店頭広告などに使用できる。

 

端末と通信料のセット割引を制限した改正電気通信事業法が10月に施行。中古スマホのSIMロック解除も解禁されたが、粟津座長は「今のところ目立つ動きはない。半年から1年様子を見る必要がある」と話す。

 

中古市場が盛り上がりに欠ける要因の一つに、携帯電話大手が始めた端末購入補助がある。購入補助は36回分割払いで対象機種を購入した契約者に対し、12回分の分割支払金の支払いを不要とする一方、約2年後に購入機種を返却し、新機種に買い替えさせるからだ。

 

携帯大手が回収した中古スマホの多くが海外に流出してしまう課題もある。RMJ正会員企業による18年度の中古携帯端末販売は前年度比6万台減の約135万台。より多くの端末を国内市場に流通させるためにも、品質保証以外で携帯大手の購入補助に対抗できる施策が求められる。

ロゴマークを持つ粟津浜一座長=リユースモバイル・ジャパン会長(左)
(取材・水嶋真人)
日刊工業新聞2019年11月29日

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