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中国で工作機械の生産能力2倍へ、シチズンは市場好転に先手

中国で工作機械の生産能力2倍へ、シチズンは市場好転に先手

新工場の完成イメージ

シチズン時計の工作機械事業会社、シチズンマシナリー(長野県御代田町)は2023年に中国で工作機械の生産能力を現在比2倍に増やす。21年に東部の山東省シ博市に新工場を建設し、同市内の現工場を集約する。中国市場の好転に備えた措置。米中貿易摩擦を機に世界の主要企業による現地事業の縮小・撤退の動きがある。ただ、製品競争力を持つ日本の工作機械各社には、高精度部品を使う最終製品の高度化に伴い、これを加工する工作機械の商機拡大が見込める。需要停滞期の今、各社が将来に向けた製販体制の整備に動きそうだ。

シチズンマシナリーは中国新工場をテコに、23年度にも現地売上高を18年度比2倍の180億円に引き上げる。投資額は約30億円。23年に棒状の材料を連続的に加工する自動旋盤の月産能力を170台から350台にする。技術営業員を同3倍の100人に拡充する。工場内は自動化やIoT(モノのインターネット)を多用する。

同社は、中国の生産能力が売上高拡大の課題になっていた。現地は30―50台規模の工作機械を一度に発注する大口案件が多く、最高益だった17―18年度の好況時には、能力の限界から一部を失注することがあった。

新工場は、現工場から自動車で5分ほどの距離。21年2月の稼働を目指す。敷地面積は6万8000平方メートルで、工場の延べ床面積は現在比3倍の3万4000平方メートルを確保する。現工場から従業員を引き継ぐ。初めて寮を2棟建て、人材確保を有利にする。

中国の工作機械市場は米中摩擦の影響や生産設備の過多などから低迷が続く。日本工作機械工業会(日工会)によると、中国の現地受注は9月まで19カ月連続で前年比マイナスを継続中だ。しかし、高性能の最終製品に組み込む部品加工用や、少人数で高品質の加工をする自動化のための潜在需要は大きい。

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