工作機械の市況低迷も、DMG森精機が強気の国内生産増強に動くワケ
20年後半には受注回復との読み、日米中で3割増の年8000台
DMG森精機は2023年までに、国内の生産能力を増強する。三重県と奈良県にある計2工場を大規模改修し、日本、中国、米国を合わせた年産能力を現在比約3割増の8000台規模に引き上げる。現在、工作機械の市況は低迷しているが、同社は20年後半には回復するとみている。好転時に直ちに需要を取り込む体制を競合他社に先駆けて整えるとともに、長期的な成長に向けて国内基盤を充実させる。
国内生産能力の増強は2段階で実施する。まず、国内最大拠点の伊賀事業所(三重県伊賀市)内で20年末までに、複数ある工作機械の組立工場の1棟を改修する。40億円以上の投資を見込む。
続いて、自動車部品製造向けの工作機械が主の奈良事業所(奈良県大和郡山市)から、改修した伊賀の工場に部品加工を移管する。その上で22―23年に奈良事業所を改修する。部品加工用だったスペースで工作機械の組み立てを行うほか、主軸をはじめとした精機部品の生産を検討する。
工作機械受注は、日本工作機械工業会(日工会)の調べで8月まで11カ月連続で前年割れにある。米中関係の緊張が背景にあり、6月と8月には健全水準とされる月1000億円を下回った。ただ、DMG森精機は「中国は底を打った感がなくはない」(森雅彦社長)との見立てだ。
生産体制の整備に先立ち、今夏には日本でアフターサービス体制を拡充した。伊賀事業所に補修部品の自動倉庫を新設し、部品の収容量を従来比50%増に引き上げている。同社の18年度国内受注高比率は約2割でドイツ、米州と並んで高い。
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日刊工業新聞2019年9月26日