トップ集団から引き離された…日本企業、CO2削減で世界と差
「1.5度目標」整合は3社のみ
相次ぐ自然災害を受け、産業革命前からの気温上昇幅を1・5度未満に抑える「1・5度目標」を目指そうとする機運が国際社会に広がっている。そんな中、企業の二酸化炭素(CO2)排出削減目標の“高さ”を認定する国際的な活動が、1・5度達成に必要な目標の認定を始めた。日本からは3社の目標が1・5度と整合すると認められた。ただ、世界全体では67社が認定されており、日本はトップ集団から引き離された。
世界自然保護基金(WWF)などが主導する国際的な活動「サイエンス・ベースド・ターゲッツ(SBT)」は、気温上昇幅を2度未満に抑える「2度目標」達成に求められる排出削減ペースと整合する企業目標を認定してきた。
15日には難易度の高い「1・5度」「2度よりも十分に低い」の二つの基準を作った。
SBTは変更前の2度目標の基準で認定済みの目標を検証し、新基準で振り分けた。すると「1・5度」には日本では丸井グループ、小野薬品工業、アスクルの3社が合致していた。また、「2度よりも十分に低い」は世界77社、日本は清水建設、積水ハウス、NECなど6社にとどまった。
SBTは企業からの申請を受けて目標を審査している。変更前、日本は52社が認定を受けており、55社の米国に次いで2位だった。変更後の米国は「1・5度」が14社、「2度よりも十分に低い」が15社となって日本を引き離した。
認定の目安となる削減ペースは2度が年1・23%減だが、1・5度では年4・2%減となり、求められる温暖化対策の厳しさが違う。日本は認定数では世界トップ級だったが、目標の難易度では上位ではなかった。
WWFジャパンの池原庸介リーダーは「再生可能エネルギーを調達しづらい日本の環境が、難易度の高い目標設定の障壁になっている」と指摘する。
現状、SBTの認定が“環境先進企業”の証であり、企業評価につながる。1・5度の認定企業が少ないと、国としても環境先進国から脱落する。企業にも目標強化の意欲が必要だが、政府にも再生エネ普及策が求められる。
温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は2度未満を世界目標とし、1・5度未満は努力目標に位置付ける。9月の国連の会議で1・5度目標への支持表明する国が相次ぎ、気候変動対策強化の流れが起きている。
2つの基準
世界自然保護基金(WWF)などが主導する国際的な活動「サイエンス・ベースド・ターゲッツ(SBT)」は、気温上昇幅を2度未満に抑える「2度目標」達成に求められる排出削減ペースと整合する企業目標を認定してきた。
15日には難易度の高い「1・5度」「2度よりも十分に低い」の二つの基準を作った。
SBTは変更前の2度目標の基準で認定済みの目標を検証し、新基準で振り分けた。すると「1・5度」には日本では丸井グループ、小野薬品工業、アスクルの3社が合致していた。また、「2度よりも十分に低い」は世界77社、日本は清水建設、積水ハウス、NECなど6社にとどまった。
SBTは企業からの申請を受けて目標を審査している。変更前、日本は52社が認定を受けており、55社の米国に次いで2位だった。変更後の米国は「1・5度」が14社、「2度よりも十分に低い」が15社となって日本を引き離した。
再生エネ普及を
認定の目安となる削減ペースは2度が年1・23%減だが、1・5度では年4・2%減となり、求められる温暖化対策の厳しさが違う。日本は認定数では世界トップ級だったが、目標の難易度では上位ではなかった。
WWFジャパンの池原庸介リーダーは「再生可能エネルギーを調達しづらい日本の環境が、難易度の高い目標設定の障壁になっている」と指摘する。
現状、SBTの認定が“環境先進企業”の証であり、企業評価につながる。1・5度の認定企業が少ないと、国としても環境先進国から脱落する。企業にも目標強化の意欲が必要だが、政府にも再生エネ普及策が求められる。
対策強化の流れ
温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は2度未満を世界目標とし、1・5度未満は努力目標に位置付ける。9月の国連の会議で1・5度目標への支持表明する国が相次ぎ、気候変動対策強化の流れが起きている。
日刊工業新聞2019年10月25日