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「クラウド化」で工作機械のビジネスモデルが変わるか

ファナックなど3社連携、データ活用しサービス利用へ
 ファナック、富士通、NTTコミュニケーションズの3社は、工作機械メーカー各社が共同で利用できるクラウドサービスの開発に乗り出す。デジタル技術を安く安心して利用できる仕組みを構築。工作機械メーカーの業務効率化やサービスの向上を支援し、機械ユーザーの生産性向上に貢献する。

 「ガスや電気のようにデジタルの世界でもインフラが必要になってくるだろう」。ファナックの斉藤裕副社長は、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)といった技術が広がる中、工作機械のユーザーもデジタル技術を活用したサービスを求めるようになると指摘する。

 一方、機械の稼働データやマニュアルなどはユーザー、メーカー双方にとって“ノウハウの塊”。デジタル空間で活用するには高い安全性が求められる。

 こうしたデータ流通の仕組みをメーカーが個別に構築するには重い投資負担が見込まれる。また、ユーザーの工場で複数の工作機械を一括管理できれば効率がさらに高まる。「デジタル技術を活用したサービスを簡単に安く提供できる共同利用のサービスが必要」(斉藤ファナック副社長)。3社はこうした環境認識を共有した。

 ファナックは工作機械向け数値制御(NC)装置を広く納め、自らも工作機械を手がける。富士通は製造業向けシステムで豊富な実績を持ち、NTTコムはセキュリティーやガバナンス構築に強みを持つ。3社の長所を生かして、データを安全安心に活用できる基盤の構築を目指す。

 同サービスは工作機械メーカーが定額の利用料を払う仕組みで、2020年4月の開始を予定する。サービスの利用により、従来電話などで状況を聞きながら回答していた故障などの問い合わせに対し、あらかじめデータ化したマニュアルから対処法を検索できる。保守業務の効率化や迅速な対応により、ユーザーのダウンタイム削減などが期待できる。

 デジタル化への対応が遅れれば受注機会が減少し、機械の性能など各社が培ってきたノウハウも失うことになりかねない。業界でデジタル世界の協調領域を効率化し、差別化技術に開発リソースを集中できるか。3社の取り組みは業界全体の競争力を左右することにもなりそうだ。
(取材・西沢亮)

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