子どもの学びを刺激する、企業の夏休みイベント続々
スポーツカー、ガス、月面探査、ガラス、スマホ販売…
製品やサービスだけではなく「学びの場」も提供―。夏休みもまっただ中で行楽地がにぎわっているが、企業の博物館やイベントも人気を博す。特に子どもが参加しやすい夏休み期間は、楽しく学べる工夫を凝らした企画がめじろ押しだ。次代を担う若年層と普段は触れあうことが少ない企業にとって、自社を知ってもらう格好の機会でもある。
トヨタ自動車が運営するトヨタ博物館(愛知県長久手市)では「サマーフェスタ2019」を9月23日まで開催する。「トヨタ2000GT」など国内外のスポーツカーを展示するほか、パトカーや消防車といった“働くクルマ”の屋外展示・実演などを企画。社会貢献推進部企業・車文化室トヨタ博物館企画運営グループの次郎坊浩典担当課長は「大人から子どもまで楽しめる企画に仕上がった」と胸を張る。9月1日までの夏休み期間中、小学生は入場無料。
子ども向けには「キッズラボ」も開催。粘土で作る自動車のデザインモデル「クレイモデル」の造形や燃料電池の仕組みを学ぶコースなど6教室を用意。次郎坊担当課長は「イベントを通して車に関心を持ってもらい、車ファンのすそ野を広げられれば」と企画の狙いを説明する。18年の夏休み企画には約7万8000人の来場があり「その上を目指したい」。今年は開館30周年の節目と重なり、集客にも一層力が入る。
ガスが明かりの役割を果たしてきた歴史を知ろう―。東京ガスが運営する博物館「ガスミュージアム」(東京都小平市)では、25日まで子ども向けの体験イベント「ガスってなんだろう?」を開く。ガスを楽しく学べるプログラムの一つが、18日までの各日と24、25日に実施するガス灯の点灯体験だ。
現在は電気が当たり前だが、1872年(明5)に横浜市内に日本初のガス灯が設置され、ガス灯が家や街を照らす主役だった時代があった。学芸員が和ろうそく、ガス灯、電灯と明かりを担ってきた道具に点灯し、説明を聞いた後で小学生以上の来場者は自分でガス灯に点灯できる。
高橋豊副館長は「子どもが自分で点灯することで、ガスの歴史を感じてほしい」と狙いを説く。点灯体験のほかにも、昔のガスメーターに触れるプログラムを実施。地震など災害時にガスが止まった場合にどうすれば良いか学ぶなど、ガスの歴史や仕組みが分かる仕掛けを用意している。
宇宙ベンチャーのispace(アイスペース、東京都港区)は2021年半ばにも月に着陸させる予定の無人の月着陸船(ランダー)の実物大の模型を東京都文京区の宇宙ミュージアム「TeNQ(テンキュー)」で展示中だ。ランダーの大きさは幅、奥行き、高さともに約3メートル。ランダーの下には月面の画像を投影している。備え付けの3Dメガネで見れば、凹凸のある月面に着陸したランダーをイメージできる。
米国の月面着陸計画「アポロ計画」で宇宙飛行士が月に着陸してから7月で50年が経過した。米国はいま再び月を目指している。アイスペースも20年半ばにランダーでの月周回軌道での探査、さらに21年半ばにランダーを月周回軌道から月に着陸させ、その後に探査車(ローバー)で月面を探査する計画だ。
月面探査を身近に感じてもらうことが今回の展示の大きな目的で、子どもの夏休みの自由研究に役立ててもらいたいとの思いもある。夏休み特別展は9月1日まで。
科学の魅力を伝える人気漫画とコラボレーション―。AGCは、集英社の週刊誌「少年ジャンプ」で連載中の漫画『Dr.STONE』と組んだ企画展「実験する漫画展」を、体験型ショールーム「AGCスタジオ」(東京都中央区)で31日まで開催する。漫画の世界に浸りながらガラスや科学を身近に感じてもらうのが狙いだ。
漫画の世界観をAGCのガラスなどを用いて表現し、主人公・石神千空の実験場「千空のラボ」や登場キャラクターが被る「スイカの仮面」などを忠実に再現した。ファン垂ぜんの50点の複製原画も展示する。
スタジオ入り口には大迫力のステンドグラスを配置。ガラスの素材感が来館者の目を引く。触って遊べるガラスを使ったユニークな展示物も多数用意した。夏休みで訪れていた小学生と園児の兄妹は人力の“発電機”に挑戦した。2人で息を合わせながら持ち手の付いた円盤を懸命に回し発電に成功。「頑張って電気を付けられて良かった」と楽しそうに話した。
NTTドコモは小学1―4年生を対象にドコモショップの仕事が体験できる「ドコモお仕事チャレンジ」を31日まで実施する。18年は関東甲信越地方の219店舗が対象だったが、今年は全国約750店舗に広げた。
ドコモショップ下北沢南口店(東京都世田谷区)では久永理央さん(9)、田屋凛奈さん(6)が親子で参加。女性店員から基本あいさつとお辞儀の仕方を学んだ後、インカムで指示を受けながら展示コーナーのスマートフォンを布で拭いたり顧客に飲み物を届けたりした。
お仕事体験後は仮想現実(VR)ゴーグルと、拡張現実(AR)のうちわを制作。ペンギンやお菓子の絵がスマートフォン越しに浮き出て見えると、子どもらは大きな歓声を上げた。講師役を務めた下北沢南口店の齋藤優衣さんは「ドコモショップの店員が来店客に接する気持ちを理解してもらうことでドコモのファンになってもらえればうれしい」と語った。
【トヨタ】スポーツカー・造形体験…魅力満載
トヨタ自動車が運営するトヨタ博物館(愛知県長久手市)では「サマーフェスタ2019」を9月23日まで開催する。「トヨタ2000GT」など国内外のスポーツカーを展示するほか、パトカーや消防車といった“働くクルマ”の屋外展示・実演などを企画。社会貢献推進部企業・車文化室トヨタ博物館企画運営グループの次郎坊浩典担当課長は「大人から子どもまで楽しめる企画に仕上がった」と胸を張る。9月1日までの夏休み期間中、小学生は入場無料。
子ども向けには「キッズラボ」も開催。粘土で作る自動車のデザインモデル「クレイモデル」の造形や燃料電池の仕組みを学ぶコースなど6教室を用意。次郎坊担当課長は「イベントを通して車に関心を持ってもらい、車ファンのすそ野を広げられれば」と企画の狙いを説明する。18年の夏休み企画には約7万8000人の来場があり「その上を目指したい」。今年は開館30周年の節目と重なり、集客にも一層力が入る。
【東京ガス】「なんだろう?」心にともす
ガスが明かりの役割を果たしてきた歴史を知ろう―。東京ガスが運営する博物館「ガスミュージアム」(東京都小平市)では、25日まで子ども向けの体験イベント「ガスってなんだろう?」を開く。ガスを楽しく学べるプログラムの一つが、18日までの各日と24、25日に実施するガス灯の点灯体験だ。
現在は電気が当たり前だが、1872年(明5)に横浜市内に日本初のガス灯が設置され、ガス灯が家や街を照らす主役だった時代があった。学芸員が和ろうそく、ガス灯、電灯と明かりを担ってきた道具に点灯し、説明を聞いた後で小学生以上の来場者は自分でガス灯に点灯できる。
高橋豊副館長は「子どもが自分で点灯することで、ガスの歴史を感じてほしい」と狙いを説く。点灯体験のほかにも、昔のガスメーターに触れるプログラムを実施。地震など災害時にガスが止まった場合にどうすれば良いか学ぶなど、ガスの歴史や仕組みが分かる仕掛けを用意している。
【ispace】月面探査 距離近づく
宇宙ベンチャーのispace(アイスペース、東京都港区)は2021年半ばにも月に着陸させる予定の無人の月着陸船(ランダー)の実物大の模型を東京都文京区の宇宙ミュージアム「TeNQ(テンキュー)」で展示中だ。ランダーの大きさは幅、奥行き、高さともに約3メートル。ランダーの下には月面の画像を投影している。備え付けの3Dメガネで見れば、凹凸のある月面に着陸したランダーをイメージできる。
米国の月面着陸計画「アポロ計画」で宇宙飛行士が月に着陸してから7月で50年が経過した。米国はいま再び月を目指している。アイスペースも20年半ばにランダーでの月周回軌道での探査、さらに21年半ばにランダーを月周回軌道から月に着陸させ、その後に探査車(ローバー)で月面を探査する計画だ。
月面探査を身近に感じてもらうことが今回の展示の大きな目的で、子どもの夏休みの自由研究に役立ててもらいたいとの思いもある。夏休み特別展は9月1日まで。
【AGC】科学を身近に―漫画とコラボ
科学の魅力を伝える人気漫画とコラボレーション―。AGCは、集英社の週刊誌「少年ジャンプ」で連載中の漫画『Dr.STONE』と組んだ企画展「実験する漫画展」を、体験型ショールーム「AGCスタジオ」(東京都中央区)で31日まで開催する。漫画の世界に浸りながらガラスや科学を身近に感じてもらうのが狙いだ。
漫画の世界観をAGCのガラスなどを用いて表現し、主人公・石神千空の実験場「千空のラボ」や登場キャラクターが被る「スイカの仮面」などを忠実に再現した。ファン垂ぜんの50点の複製原画も展示する。
スタジオ入り口には大迫力のステンドグラスを配置。ガラスの素材感が来館者の目を引く。触って遊べるガラスを使ったユニークな展示物も多数用意した。夏休みで訪れていた小学生と園児の兄妹は人力の“発電機”に挑戦した。2人で息を合わせながら持ち手の付いた円盤を懸命に回し発電に成功。「頑張って電気を付けられて良かった」と楽しそうに話した。
【ドコモ】販売店の仕事に挑戦!
NTTドコモは小学1―4年生を対象にドコモショップの仕事が体験できる「ドコモお仕事チャレンジ」を31日まで実施する。18年は関東甲信越地方の219店舗が対象だったが、今年は全国約750店舗に広げた。
ドコモショップ下北沢南口店(東京都世田谷区)では久永理央さん(9)、田屋凛奈さん(6)が親子で参加。女性店員から基本あいさつとお辞儀の仕方を学んだ後、インカムで指示を受けながら展示コーナーのスマートフォンを布で拭いたり顧客に飲み物を届けたりした。
お仕事体験後は仮想現実(VR)ゴーグルと、拡張現実(AR)のうちわを制作。ペンギンやお菓子の絵がスマートフォン越しに浮き出て見えると、子どもらは大きな歓声を上げた。講師役を務めた下北沢南口店の齋藤優衣さんは「ドコモショップの店員が来店客に接する気持ちを理解してもらうことでドコモのファンになってもらえればうれしい」と語った。
日刊工業新聞2019年8月12日