子どもも英語+αが求められる時代!職業体験を通じて身に付ける
【連載】進化する幼児教育 第2回 キッザニア×英語
2020年の小学校での英語教育必修化に向けて、英語教育がより重視されるようになってきている。英会話スクールや学習塾、通信教育などさまざまなサービスがあるが、英語を「体験」しながら学び、コミュニケーションを実践できる場も増えている。(取材・昆梓紗)
実学系の習い事が重要視される傾向にある中、10年以上前から学びと遊びを両立させているテーマパークがKCJ GROUPの運営する「キッザニア」である。約60のパビリオンで約100種類のアクティビティを体験することで、その職業の仕事内容だけではなく、礼儀作法や「働くとはどういうことか」を学ぶことができる。
2006年に東京・豊洲、2009年に兵庫・甲子園がそれぞれ開業。年間入場者数は約87万人(豊洲)で、ここ数年は大きな伸びはみられない(来場定員の上限あり)。しかし利用者が3~15歳の子どもと限定的にもかかわらず、リピーターは7割を超える。年に数十回通うような、習い事のかわりに通う子どももいるという。
キッザニアに来場するモチベーションとして多いのは、「子どもの適性を自主的な活動を通して見出したい」というニーズだ。2019年2月ににリニューアルしたリクルートキャリアのパビリオンでは、アンケートに答えていくと自分に合った職業(およびパビリオン)を提案してくれるブースが保護者に好評だという。
学校や習い事では伸ばせなかった力を育む機会もある。アクティビティでは参加者の中からリーダーを一人選出する場合があるが、普段はリーダーシップをとりたがらない子でも最年長だとリーダーに抜擢されることがある。また、年齢もさまざまな初対面の仲間たちと一緒に仕事に取り組むので、より協調性、柔軟性が重要だ。こういった小さくても刺激につながる一つひとつのハードルを乗り越え仕事を成し遂げられたということも、大きな自信につながっていく。
さらに近年ニーズが高まっているのが英語教育だ。キッザニアでは職業体験中に英語に触れる機会をいくつか設けている。英語を使う実践の場としてキッザニアに来場する親子も多い。
まず全パビリオンで毎回、仕事体験の最初と最後の挨拶、自己紹介を簡単な英語で行っている。さらに英語に触れたい場合は、アクティビティの最初から最後までを英語で実施する「E@Kアクティビティ」がある。曜日と時間によっていくつかのアクティビティで実施している。毎週水曜日にはこのプログラムを半数以上のパビリオンで実施している。
例えばガソリンスタンドのアクティビティでは「車を誘導する時に『All right』と言おう」と英語で説明され、みんなでやってみる、といった英会話だが、「普段英語を習っていない子どもでも自然と話せるのでびっくりする保護者も多い」(ブランディング部シニアマネジャーの中島めぐみ氏)という。未就学児の親子に特に好評だ。
さらにレベルが上がると英語のアクティビティを連続受講するプログラムや、入場から退場まで全て英語で行うプログラムもある。
どこのパビリオンでオール英語のプログラムを実施しているかは入口の案内板やウェブサイトで確認ができるが、知らずに参加する場合もある。さぞ戸惑うかと思いきや、子どもたちは意外にもすんなりと仕事に取り組んでいくのだという。
それぞれのアクティビティでは、仕事を教える先輩という設定のスーパーバイザーが流れを説明し、子ども一人ひとりに役割を与えて一緒に取り組む。英語プログラムではその説明から英語で行うが、難しい点はフォローしながら行っていく。実際の仕事に取り組んでいく中で、英語を体験し、自然と理解できていくようだ。
参加者アンケートでは「スーパーバイザーの英語が理解できた」とする子が4分の3を超え、「英語で言われた全ての動作を行えた」との回答が7割を超えている。「もともと英語が得意でなくても、しっかりとアクティビティができたという体験は子どもの自己肯定感につながります」(中島氏)。そしてこの体験が英語をもっと学びたいという意欲醸成にも役立っている。
矢野経済研究所は2018年度の語学ビジネス総市場規模は、売上高ベースで前年度比102.4%の8,873億円を予測している。今後、英語を学ぶ子供の数は増加するとみられることから、幼児・子供向けサービスを中心に語学ビジネスの市場全体は堅調に推移するとみている。英語教室も多様化する中で、英語「+α」の価値を求める保護者は今後も増えていくだろう。
【連載】進化する幼児教育ビジネス
2020年の小学校での英語、プログラミングの必修化などの動きを受け、ニーズや保護者の意識が変化している「幼児教育」にスポットを当て、事例や現状を取り上げていきます。
#1 3歳からプログラミング教育は必要?早くから身に付けておきたい力とは>
習い事のかわりに職業体験
実学系の習い事が重要視される傾向にある中、10年以上前から学びと遊びを両立させているテーマパークがKCJ GROUPの運営する「キッザニア」である。約60のパビリオンで約100種類のアクティビティを体験することで、その職業の仕事内容だけではなく、礼儀作法や「働くとはどういうことか」を学ぶことができる。
2006年に東京・豊洲、2009年に兵庫・甲子園がそれぞれ開業。年間入場者数は約87万人(豊洲)で、ここ数年は大きな伸びはみられない(来場定員の上限あり)。しかし利用者が3~15歳の子どもと限定的にもかかわらず、リピーターは7割を超える。年に数十回通うような、習い事のかわりに通う子どももいるという。
キッザニアに来場するモチベーションとして多いのは、「子どもの適性を自主的な活動を通して見出したい」というニーズだ。2019年2月ににリニューアルしたリクルートキャリアのパビリオンでは、アンケートに答えていくと自分に合った職業(およびパビリオン)を提案してくれるブースが保護者に好評だという。
学校や習い事では伸ばせなかった力を育む機会もある。アクティビティでは参加者の中からリーダーを一人選出する場合があるが、普段はリーダーシップをとりたがらない子でも最年長だとリーダーに抜擢されることがある。また、年齢もさまざまな初対面の仲間たちと一緒に仕事に取り組むので、より協調性、柔軟性が重要だ。こういった小さくても刺激につながる一つひとつのハードルを乗り越え仕事を成し遂げられたということも、大きな自信につながっていく。
ぶっつけ本番でも大丈夫?
さらに近年ニーズが高まっているのが英語教育だ。キッザニアでは職業体験中に英語に触れる機会をいくつか設けている。英語を使う実践の場としてキッザニアに来場する親子も多い。
まず全パビリオンで毎回、仕事体験の最初と最後の挨拶、自己紹介を簡単な英語で行っている。さらに英語に触れたい場合は、アクティビティの最初から最後までを英語で実施する「E@Kアクティビティ」がある。曜日と時間によっていくつかのアクティビティで実施している。毎週水曜日にはこのプログラムを半数以上のパビリオンで実施している。
例えばガソリンスタンドのアクティビティでは「車を誘導する時に『All right』と言おう」と英語で説明され、みんなでやってみる、といった英会話だが、「普段英語を習っていない子どもでも自然と話せるのでびっくりする保護者も多い」(ブランディング部シニアマネジャーの中島めぐみ氏)という。未就学児の親子に特に好評だ。
さらにレベルが上がると英語のアクティビティを連続受講するプログラムや、入場から退場まで全て英語で行うプログラムもある。
どこのパビリオンでオール英語のプログラムを実施しているかは入口の案内板やウェブサイトで確認ができるが、知らずに参加する場合もある。さぞ戸惑うかと思いきや、子どもたちは意外にもすんなりと仕事に取り組んでいくのだという。
それぞれのアクティビティでは、仕事を教える先輩という設定のスーパーバイザーが流れを説明し、子ども一人ひとりに役割を与えて一緒に取り組む。英語プログラムではその説明から英語で行うが、難しい点はフォローしながら行っていく。実際の仕事に取り組んでいく中で、英語を体験し、自然と理解できていくようだ。
参加者アンケートでは「スーパーバイザーの英語が理解できた」とする子が4分の3を超え、「英語で言われた全ての動作を行えた」との回答が7割を超えている。「もともと英語が得意でなくても、しっかりとアクティビティができたという体験は子どもの自己肯定感につながります」(中島氏)。そしてこの体験が英語をもっと学びたいという意欲醸成にも役立っている。
矢野経済研究所は2018年度の語学ビジネス総市場規模は、売上高ベースで前年度比102.4%の8,873億円を予測している。今後、英語を学ぶ子供の数は増加するとみられることから、幼児・子供向けサービスを中心に語学ビジネスの市場全体は堅調に推移するとみている。英語教室も多様化する中で、英語「+α」の価値を求める保護者は今後も増えていくだろう。
2020年の小学校での英語、プログラミングの必修化などの動きを受け、ニーズや保護者の意識が変化している「幼児教育」にスポットを当て、事例や現状を取り上げていきます。
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