量子コンピューターを生かせ、世界に先駆けコンソーシアム設立へ

テラスカイが新会社発足

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コンソーシアムでは、IBMの量子コンピューターにアクセスできる(IBMが開発中の50量子ビット機の低温保持装置)
 テラスカイは量子コンピューターを使って、従来型計算機では解けない難問や社会課題の解決を目指す新会社「Quemix(キューミックス)」を設立した。日本IBMと連携し、米IBMが商用化を進める量子ゲート方式の次世代計算機「IBM Qシステム」の早期活用を後押しする。第1弾として、月内にQシステムの適用領域の共同検証などを行う企業主体のコンソーシアム(共同事業体)「量子コンピューティング・ラボ」を世界に先駆けて立ち上げる。最大6社の参加を募る。

 中核となるキューミックスはテラスカイの完全子会社として、東京都中央区のテラスカイ内に拠点を置く。資本金は5000万円。キューミックスはIBMが運営するQシステムの普及促進を担う組織「Qネットワーク・メンバーズ」に参加し、Qシステムの最新版である20量子ビット機へのアクセス権などを取得した。Qシステムの実機への国内アクセス拠点では、IBMが進める学術主体の「Qネットワークハブ」構想に2018年に参加した慶応義塾大学が企業数社との共同研究で先駆けているが、企業主体の商業ベースでのコンソーシアムは今回の取り組みが世界初。

 コンソーシアムでは19年7月以降、参加企業に対し、まず研究者やアプリケーション(応用ソフト)開発者を育成する。量子コンピューティングの計算能力を生かせる適用領域も探索する。併せて人工知能(AI)や量子化学などの先進技術を組み合わせたハイブリッド利用のあり方や材料開発への応用などにも力を注ぐ。

 Qネットワーク・メンバーズに参加している日本企業は、日立金属やJSR、本田技術研究所、長瀬産業といった大手が中心。いずれも自社活用が前提で、ベンチャー企業としての参加はキューミックスが初。

 量子コンピューターのハードウエアの開発では、米IBMや米グーグルが先行する量子ゲート方式のほか、カナダのDウエーブ・システムズを代表とする量子アニーリング方式、米インテルが取り組む半導体ベースのアニーリング方式などが先陣争いをしている。適用領域の探索や活用では先進ユーザーである日本の産業界の動向が注目されている。

日刊工業新聞2019年7月17日

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