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年間140万枚以上の紙を節約した、三菱ふそうトラックの「次世代工場」

IoTとロボット活用を加速
年間140万枚以上の紙を節約した、三菱ふそうトラックの「次世代工場」

生産設備や工程などを集中管理する「コントロールルーム」

 三菱ふそうトラック・バスは、川崎工場(川崎市中原区)でトラック生産の効率化を加速させている。IoT(モノのインターネット)を活用した生産管理システムや、作業を支援するロボットの導入などを進める。あらゆるモノがつながる工場としての発展も見据えており、次世代をリードする生産体制を確立させる考えだ。

 トラックを組み立てる川崎工場。タブレット端末を持った作業員が各種トラックの最終検査で不備がないかを確認し、車両情報を登録する。

 作業員は自分のスマートフォンの専用アプリで、工場内のどこにいても共有データを確認できる。「つながる工場」を目指す川崎工場では、こんな光景が広がりつつある。「今後の基本となるような一流のトラック工場にしたい」。スヴェン・グレーブレ副社長兼生産本部長はこう力を込める。

 三菱ふそうは自動化などによる生産効率化のプロジェクト「ファクトリー・オブ・ザ・フューチャー」に2017年から取り組んでいる。成果として作業の品質向上に加え、センサーとスマホの活用で年間140万枚以上の紙の節約も実現した。


 生産設備や工程などを集中管理する「コントロールルーム」も新設した。工場の“見える化”を図っている。受注から車両の出荷までのデータを一貫管理し、生産データを分析して生産性の改善にも寄与する。

 センサーを活用して機器の稼働状況などを確認でき、予知保全につなげる。工場内に設置されたカメラにより、トラブル発生時に映像を基に解析もできるようにした。スマホによる車両検査の情報共有なども手軽になった。

 自動化の取り組みも推し進める。グレーブレ副社長は、「作業員が複雑な作業だけに集中して、簡単な仕事はロボットがやる形にしていきたい」と将来の生産現場の姿を描く。

 まず、エンジン組み立てのラインで協働ロボットや自動搬送ロボットを導入した。新たな効率化などのアイデアを生み出す場として「Bot―Lab」も設けた。最新の機器を自由に見たり、試したりできる。実際に機械に触れることで新たな取り組みへのヒントを生み出すことを期待する。

 グレーブレ副社長は、ファクトリー・オブ・ザ・フューチャーの次なるステップとして「より拡張し、実行に入っていきたい」と意気込む。例えば、生産工程で道具がどのように使われたかまで把握できれば、より品質の向上や生産の効率化につながる。トラック生産の進化を見据える。
(文=山岸渉)

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日刊工業新聞2019年6月24日

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