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どこまで踏み込む?3メガ銀の構造改革

RPA導入・店舗合理化
どこまで踏み込む?3メガ銀の構造改革

3メガ銀グループは構造改革に懸命だ

 3メガ銀行グループが構造改革に懸命だ。日銀の低金利政策が続き、これまでの収益構造では業績拡大が見込みにくくなってきたためだ。みずほフィナンシャルグループ(FG)はRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)や人工知能(AI)などを導入して業務を合理化するほか、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)、三井住友FGも店舗戦略の見直しや業務量削減を進めている。どこまで踏み込んだ改革が打ち出せるかが注目される。

 2019年3月期の3メガ銀行グループの決算は厳しさをあらためて認識する内容になった。本業のもうけを示す実質業務純益は、いずれも減益。みずほFGは固定資産の減損損失などを計上し、連結当期利益が前期比8割減と大幅に落ち込み、構造改革は喫緊の課題と言える。

 そのため、みずほFGは23度年まで5年間の中期経営計画に「次世代金融への転換」を掲げ、店舗改革やデジタル化などによる業務量削減を加速させる方針を盛り込んだ。拠点数の合理化についても、当初計画の100拠点に30拠点積み増した130拠点を目標に置いた。

 MUFGは17年に策定した店舗戦略を見直し、当初20%としていた削減目標について35%まで引き上げ、約180店舗を23年度までに減らす計画。業務削減量も9500人分から1万人超相当分まで引き上げ、経費削減に向け取り組みを加速させる。

 三井住友FGも構造改革を進めており、17年度から19年度までの業務削減量について、グループ全体で当初の4000人分から5000人分弱になったことを明らかにした。

 従来の事業モデルでは立ち行かなくなり、一部に銀行のあり方を問う向きもある中、「銀行が不要になるのであれば、我々自身が銀行でなくなればいい」(太田純社長)とし、抜本改革を進める意欲を示す。低金利環境が続く中、銀行の在り方は転換期を迎えつつある。
日刊工業新聞2019年6月6日

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