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日用品大手3社の「販促物を共同配送」、店舗が得るメリットは?

ユニ・チャームや資生堂、ライオンが連携
日用品大手3社の「販促物を共同配送」、店舗が得るメリットは?

(左から)ユニ・チャーム、資生堂、ライオンが同梱する販促物の例

 ユニ・チャーム、資生堂、ライオンは、売り場に商品を陳列するラックや商品を目立たせるポップなどの店頭販売促進物(販促物)について5月から共同配送を開始する。同じ店舗に配送する促進物については同じ箱に詰めて届けるという。包装資材やトラック台数を減少させ、環境負荷低減や物流コスト抑制を目指す。

 3社が協力し、販促物情報を一括で管理・配送する「販促物管理システム」を開発した。今後同システムはユニ・チャームが代表して運営する。同じ店舗に近いタイミングで送るモノは、同じ箱に入れて出荷する。

 包装資材の節約で、資源を保護しながら物流コストを削減する。またトラック台数が減少すれば、二酸化炭素(CO2)排出量削減にもつながる。

 プロジェクトを推進するユニ・チャーム創流推進部の畠山啓一部長は「店舗でもスペースの節約になる。メリットがあるのは配送側だけではない」と笑顔をみせる。

 また、3社の販促物が入った箱には独自のデザインを採用する。店舗スタッフが必要なタイミングで見つけられるようにするためだ。バックヤードの作業効率化にも貢献する。

 畠山部長は「販促物は製品に埋もれてしまうことも多い。見つけられず設置してもらえないことがある。販促物はそれ自体がコストなので設置しなければ損失になる。まずは設置の機会を確実につかみたい」と明かす。

 今後、販促物の標準化も視野に入れているという。形状などを共通にすれば、箱の最適化を迅速にできる。さらなる効率化につなげたい考えだ。

 3社は2016年に資生堂の子会社だったジャパンリテールイノベーションを合弁会社に移行。小売店の店頭メンテナンスや売り場づくりなどで協業を続けてきた。5月からは協業範囲が広がる。

 “物流クライシス”が叫ばれる近年、効率化は大きな課題となっている。日用品業界では大手3社が協業し、“始めの一歩”を踏み出した。
(文=門脇花梨)
日刊工業新聞2019年4月10日

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