10倍に引き伸ばしても破断しないポリマー、再生医療の足場に
東レが開発
東レは14日、ゴムのような柔軟性があり、伸ばしても切れにくい生体吸収性ポリマーを開発したと発表した。初期の長さの10倍に引き伸ばしても、破断せずに復元する。血管、皮膚、消化器など、柔軟で動きのある組織や臓器を回復させる再生医療の足場材料としての用途を想定。2025―26年ごろの実用化を目指す。
同ポリマーは、乳酸の二量体であるラクチドとカプロラクトンを原料に用いた。特殊な共重合方法により、柔軟性と耐破断性を両立させた。同ポリマーに親水性のポリエチレングリコールを含ませ、加水分解しやすくする技術も開発。柔軟性や耐破断性を損なわずに、分解速度を10倍に速めることができた。
同ポリマーで外表面を覆ったポリエステル繊維製人工血管をイヌに移植したところ、繊維のすき間から血液が漏れるのを防げた。ポリマーが分解するにつれ、人工血管の周囲から血管を構成する細胞が浸入し、人工血管を足場に血管組織が再生することを確かめた。
既存の生体吸収性ポリマーであるポリ乳酸やポリグリコール酸は、硬くて切れにくい特性を持つ。体内固定用のネジなどの用途には向くが、柔軟で動きのある組織の再建に使うのは難しかった。
同ポリマーは、乳酸の二量体であるラクチドとカプロラクトンを原料に用いた。特殊な共重合方法により、柔軟性と耐破断性を両立させた。同ポリマーに親水性のポリエチレングリコールを含ませ、加水分解しやすくする技術も開発。柔軟性や耐破断性を損なわずに、分解速度を10倍に速めることができた。
同ポリマーで外表面を覆ったポリエステル繊維製人工血管をイヌに移植したところ、繊維のすき間から血液が漏れるのを防げた。ポリマーが分解するにつれ、人工血管の周囲から血管を構成する細胞が浸入し、人工血管を足場に血管組織が再生することを確かめた。
既存の生体吸収性ポリマーであるポリ乳酸やポリグリコール酸は、硬くて切れにくい特性を持つ。体内固定用のネジなどの用途には向くが、柔軟で動きのある組織の再建に使うのは難しかった。
日刊工業新聞2019年3月15日