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日本ガイシが留学生支援で取り組む海外への“恩返し”

名古屋市に留学生専用の寮を開設、就活相談や地域交流などを実施
日本ガイシが留学生支援で取り組む海外への“恩返し”

ハロウィーンイベントでの留学生と子どもたち

 日本ガイシは、愛知県の大学で学ぶ外国人留学生を支援する財団法人「日本ガイシ留学生基金」を1998年に設立した。99年には名古屋市天白区に留学生専用の寮「日本ガイシインターナショナルハウス」を開所。別途、奨学金支給も行っている。同社の守屋信一総務部長にその概要や狙いを聞いた。

―支援の概要は。

「寮の定員は男女各20人。風呂やトイレ、エアコン、冷蔵庫を備えた18平方メートルの個室を提供。館内に自炊用の厨房(ちゅうぼう)や食堂、リビング、学習室もある。寮費は月6000円で3年間入居可能。これまで500人以上を受け入れた。奨学金は月額12万円で返済不要。300人弱に支給した」

―留学生を支援する目的は。

「当社は“良き企業市民”を目指している。海外展開は地域に溶け込むことが大切。地域の方の助けがあってやってこられた。日本への留学生も苦労しているはず。『今度は自分たちが留学生を支援しよう』と考えた」

―入居者の様子は。

「現在は9カ国の留学生がいる。例年、中国の人は多く、あとはベトナム、韓国など。今年はウガンダ、エルサルバドルの留学生もいる。安い寮費に加え、日本人以外の多様な国の人と交流できる点も評価されている」

―入居者にどう対応していますか。

「交代で管理責任者を置き、なるべく声をかけるようお願いしている。月に6回、都合のつく人を集め30分から1時間程度の報告会も開く。内容はインフルエンザ予防や共用スペース利用の注意など。保護者代わりに、悪いことは悪いと教えるようお願いしている。就職の応募用紙の書き方などの相談にも応じる」

―地域との交流は。

「入居者を知ってもらうため、地域の清掃や夏休みのラジオ体操に行かせている。最近はハロウィーンのイベントもやっていて、菓子をもらいに来る子が増えた。秋から冬にかけて留学生が講師になり、語学講座や異文化紹介講座も開いている」

―今後の課題は。

「OB、OGのネットワークができればいいのだが、もちろん母国に帰る人もいるし、退所から年月が経つと連絡が取りにくくなる。なんとかしたい」
(文=名古屋編集委員・村国哲也)

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日刊工業新聞2019年2月8日

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