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原発損失も一転、日立が最終利益を上方修正したワケ

通期は自動車部品や鉄道関連の株式売却益を見込む
原発損失も一転、日立が最終利益を上方修正したワケ

日立の東原敏昭社長

 日立製作所は2019年3月期業績予想(国際会計基準)の当期利益を従来予想比800億円増の1800億円(前期比50・4%減)に引き上げた。自動車部品関連事業や鉄道事業の株式売却益を織り込んだ。1月17日に英国の原発プロジェクトの凍結で損失を計上し、期初予想の4000億円から1000億円に引き下げていた。売上高や営業利益予想は据え置いた。

 18年4―12月期の営業利益は、前年同期比12・6%増の5345億円で4―12月期では過去最高となった。情報・通信システムや建設機械など主力部門の収益性向上が寄与した。

 マクロ経済の環境が今後の懸念材料で、西山光秋専務は米中貿易摩擦の影響について「直接的には大きな額でない。全体の経済環境が冷え込むかを見ていく必要がある」と述べた。英国のEU離脱は「(英国に工場がある鉄道車両事業の)調達品にかかる関税が心配だが、国内でクローズできる体制を整えつつある。今は7割が国内(調達)」としている。

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日刊工業新聞2019年2月4日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今後、ポートフォリオの入れ替えでは、「CASE」時代において自動車部品事業「日立オートモティブシステムズ」をグループにとどめておくのか、他社資本と組むのか注目したい。損失リスクとして残っているのは、三菱重工との火力合弁における対立だろう。三菱重工が社長交代する見通しで、これを契機に進展があるか。

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