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海洋プラ対策の欧米主導に“待った”、国内化学3社が動く

国際的アライアンスに参画
海洋プラ対策の欧米主導に“待った”、国内化学3社が動く

写真はイメージ

 三菱ケミカルホールディングスと住友化学、三井化学は、欧米化学大手などが月内にも設立する海洋プラスチック汚染対策の国際的アライアンスに参画する。欧米中心に盛り上がるプラスチック廃棄物問題に対して、足並みをそろえて日本を含むアジアの主張を明確にして欧米主導に“待った”をかける。世界屈指のリサイクルシステムなど日本の知見を発信しながら、世界規模の社会課題の解決に貢献したい考えだ。

 3社が参画する国際的アライアンス「エンド・オブ・プラスチック・ウェイスト(仮称)」は、組成する基金などを通じてサプライチェーン全体でプラスチック廃棄物の海洋流出削減を目指す。世界の有力企業が加盟するWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議、スイス・ジュネーブ)が窓口だが、独BASFや米ダウ・デュポン、同エクソンモービルなどの欧米化学大手が主導してきた。早くて月内に設立を表明する。

 まだ基金などの詳細設計は終わっていないが、総額1500億円規模を目指す。参加企業から資金を募って基金をつくり、プラスチック廃棄物の回収・再利用に関する研究開発や社会啓発、各国の法整備などを支援する。加えて、各社が行う技術開発や他のアライアンス参加などの個別活動も金額換算し、合計で1500億円規模にする計画だ。

 参加企業は売り上げ規模などに応じて、それぞれ40億―50億円を拠出する方向。アジア地域からはタイのサイアム・セメント・グループ(SCG)やサウジアラビアのサウジ基礎産業公社(SABIC)なども参加するもよう。化学メーカーだけでなく、プラスチック加工業者や回収・リサイクル業者なども対象だ。

 ただ、プラスチック廃棄物の一大発生源である中国の化学メーカーなどは設立当初に参加しないとみられる。海洋汚染を防ぐ上で中国の協力は不可欠であり、アライアンスの実効性を弱めかねない。今後もプラスチック廃棄物問題の解決へ曲折がありそうだ。
日刊工業新聞2019年1月14日

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