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けん引役のケミカル市況悪化、“買収巧者”を試される旭化成

小堀秀毅社長インタビュー「次期中期も7000億円の投資規模」
けん引役のケミカル市況悪化、“買収巧者”を試される旭化成

小堀秀毅社長

 ―2019―21年度の次期中期経営計画を現在、策定中です。
 「現中計で『コネクト』を掲げてきたが、この3年で完成したわけではない。引き続き社内外との交流や結束、つながりを強めていく。また、事業にはサイクルがあるので今、調子の良いものが25年にも良いとは限らない。ポートフォリオの変換を常に意識して、その時その時で成長のエンジンをいくつ持っていられるかが大事だ。次期中計でさらに変化するために必要なものは何かを考えている」

 ―現中計で累計7000億円の投資(計画含む)を実行してきました。次期中計での投資規模は。
 「(19―21年度の)営業キャッシュフローをベースに長期投資と株主還元を考えるが、この3年間で約7000億円の投資ができたので次も同じぐらいの規模をやりたい。そうしないと、25年度の売上高目標の3兆円(18年度予想比35・7%増)まで成長できない」

 ―自動車分野に続く今後の重点分野は何ですか。
 「環境ソリューション型ビジネスがある。イオン交換膜や水処理、水素製造などでシステム・ソリューションまで手がけている。環境規制が厳しくなる中国や欧州において、環境ソリューションに強い旭化成のイメージを広げたい。そのためにもっと横断的な活動を推進していく」

 ―18年9月末に自動車用シート材大手の米セージ・オートモーティブ・インテリアズを買収しました。統合プロセスをどう進めていきますか。
 「車室空間が変化する中で、セージの成長を支援していく。これまで投資会社傘下で目先の収益を優先してきたが、研究開発を含めて事業に集中できる環境を整えるとともに、我々もセージが持つ市場チャネル・パイプを有効活用する」

 ―ヘルスケア部門の中で医薬・医療事業の先行きは厳しいようです。
 「ヘルスケア部門の最大のポイントは、自分たちが患者の役に立てる領域を常に意識する視点が重要だということ。規模を追うと収益性など絶対額を求めて拡張していくことになるが、そこに時間軸を含めてハードルの高さを感じる」

<関連ページ>
「野武士」旭化成、競合他社からの嫉妬も

日刊工業新聞2019年1月15日
鈴木岳志
鈴木岳志 Suzuki Takeshi 編集局第一産業部 編集委員
好業績をけん引してきたケミカル事業が市況悪化で雲行きが怪しい。米中貿易摩擦の影響もじわりと広がる。遅れ気味の新規事業創出は待ったなしだが、収益への即効性を期待するのも酷だ。当面はセージや、15年に巨額買収した米ポリポアとの相乗効果をさらに追求しないといけない。“買収巧者”の手腕が試されている。

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